勝田貴元がタナクを捉え5番手浮上。雪景色のSS19でガードレールにヒットも9度目のステージウイン

 愛知県豊田市の豊田スタジアムを起点に開催されているWRC世界ラリー選手権第13戦『ラリージャパン』は、11月19日(日)に競技最終日を迎えた。このデイ4の午前中に設定されたSS17~19を終えた時点での首位は、TOYOTA GAZOO Racing WRTのエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)と変わらず。一方、連日速さを見せている勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合6番手から5番手に順位を上げている。

 晴天に恵まれた大会4日目、ラリージャパン2023は戦いの舞台を愛知県だけでなく岐阜県にも伸ばし、旭高原SS、恵那市SS、根の上高原SSという3つのステージを各2回走行していく。オープニングとなったSS17“アサヒコウゲン1”ほか、いずれのSSも路面はウエット。SS19“ネノウエコウゲン1”では前日に降った雪が道路脇に残っている様子が確認できたが、コース上には雪はなく凍結している箇所もないようだ。

■勝田が今大会9度目のステージウイン

 2日連続となる“3連続ステージウイン”を記録したデイ3で総合順位を9番手から6番手に順位を上げ、ひとつ上のポジションにつけるオット・タナク(フォード・プーマ・ラリー1)とのタイム差を14.9秒とした勝田。昨夜、報道陣に向けて「最終日もプッシュしていく」と話した彼は、SS17とSS18でティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)に次ぐステージ2番手タイムをマーク。この時点でマシンバランスに苦労し「まるでフロントがパンクしているような状態」と語っていたタナクの背後0.4秒の位置に迫った。

 迎えたSS19で勝田は左のタイトコーナー通過時にガードレールに接触するシーンがあったものの、このステージをトップで通過。今大会9度目のステージウインを果たすともにタナクを逆転して総合5番手に浮上した。4番手エサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 Nラリー1)とのギャップは16.2秒だ。

マシンの右側をタッチさせた勝田は走行後、「何も問題はありません」とコメント。スウェーデンでのスノーバンクを利用したような走りを披露した日本の“ヒーロー”は「バリアに触れましたが、それは充分に柔らかく、むしろ僕たちをより速く道路に戻してくれました!」と語っている。

■トヨタの1-2-3は変わらず

 デイ2からワン・ツー・スリー体制を築くTGR-WRT勢、首位エバンスと2番手セバスチャン・オジエ、3番手につけているカッレ・ロバンペラ(いずれもトヨタGRヤリス・ラリー1)の順位に変動はなく、各選手ともリスクをとらない走りで前半の3ステージを走破している。

 中津川公園に設けられたタイヤフィッティングゾーンに入る直前の各車のタイム差は、エバンスとオジエ間が1分24秒6。オジエとロバンペラとの間は28.5秒開いている。4番手ラッピとロバンペラのギャップは1分23秒1だ。

 ペースが上がらず総合6番手に順位落としたタナクの後方で行われているWRC2クラスのバトルは、グレゴワール・ミュンスター(フォード・フィエスタ・ラリー2)がSS18でスピンを喫して遅れた影響で、6.6秒の僅差でクラストップを争っていたクラス首位アンドレアス・ミケルセン(シュコダ・ファビアRSラリー2)に余裕が生まれている。SS19を追えた時点での両者のギャップは30.9秒に拡大した。クラス3番手/総合9番手はニコライ・グリアジン(シュコダ・ファビアRSラリー2)で、こちらはさらに40秒以上後方につけている。

 WRC最終戦『フォーラムエイト・ラリージャパン2023』のデイ4後半戦は、11時04分より恵那市SSの再走ステージとなるSS20“エナシティ2”で幕を開ける。

エルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2023年WRC第13戦ラリージャパン
総合6番手に順位を下げたオット・タナク(フォード・プーマ・ラリー1) 2023年WRC第13戦ラリージャパン
エサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 Nラリー1) 2023年WRC第13戦ラリージャパン

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