【先週読まれた人気記事】アニメ『葬送のフリーレン』 大魔族アウラが放った無感情な言葉が「名セリフ」と話題

アニメ『葬送のフリーレン』第9話のタイトルは、「断頭台のアウラ」。不死の軍勢を操る大魔族・アウラにフリーレンが単身で戦いを挑む。なぜ「断頭台」という異名が付けられたのか、そのおぞましい由来が明かされた他、ネットではアウラが放ったある言葉が「フリーレンの“地雷”を踏んだ」と話題に。敵ながら、「名セリフ」との声まで上がっている。

(以下、アニメ最新話までのネタバレを含みます)

◆「断頭台」の由来

かつて大魔法使い・フランメが生み出した街の防護結界。その解除をもくろむ「断頭台のアウラ」を討伐するため、一人街を離れたフリーレンは静かに荒野を見下ろしていた。だんだんと近づくいくつもの足音が地面を揺らす。姿を現したのは、数百はいるであろう“首無し騎士”たちだった。密集した鎧の隙間から、大きな2本の角を携えて薄ら笑いを浮かべる女性の魔族が顔を出す。「久しぶりだね」と声をかけるフリーレンに、「そうねぇ。80年ぶりかしら」とアウラ。かつて勇者一行による魔王討伐の最中、2人は一度相まみえていた。

「あのときより増えている」。自身を囲うように展開した“首無し騎士”たちを見て、フリーレンはアウラの使う“魔法”の恐ろしさを思い出していた。いくつかの鎧の首元には、ネックレスの細工を施した宝石が光っている。その中にはごく最近、見覚えのあるものも…。「最低に趣味の悪い魔法だ」と言い放ちフリーレンは、一度仕留め損ねた強敵の討伐をより堅く決意する。アウラはクスッと笑って、その手に持った不可思議な天秤(てんびん)を揺らすのだった。

それは「服従の天秤」と呼ばれた。2つの皿に自身と対象の魂を乗せ、魔力の大きさをはかりにかける。そしてより大きかった方が相手を服従させ、永遠に操り人形にできる魔法だ。アウラが「七崩賢(しちほうけん)」と呼ばれる大魔族になってから早500年、アウラを上回る魔力の魂が天秤に乗ったことは一度たりともなかったと言われている。唯一、鋼の意志を持つ者であれば一時的に抵抗はできた。アウラはその意思が邪魔だったのだろう。操ったものたちに、実に合理的な処置をした。首を落とし、意思を断つ。ゆえに「断頭台のアウラ」と呼ばれていた。

アウラの軍勢と対峙するフリーレン その視線の先には無数の“首無し騎士”たちが…

◆「ヒンメルはもういない」

次々に襲いくる“首無し騎士”たち。その剣が、その斧が、幾度もフリーレンの頬をかすめる。はたから見ればそれはまさに防戦一方。だが、フリーレンはあえて攻撃をしないようにも見えた。

「どう?私の不死の軍勢は強いでしょ?」と、誇らしげに観戦していたアウラが余裕を見せたその時、フリーレンの杖から柔らかな光があふれ、周囲にいた“首無し騎士”たちの鎧をなでた。操り人形の糸が途切れたように、光を浴びた騎士たちがその場に倒れていく。「…驚いたわ。私のかけた魔法が解除されている」。アウラの口元から笑みが消えた。しかし同時に、アウラは思った。これほど強力な解除魔法は魔力の消費も相当なものになるはず。なのにどうしてこんな回りくどい戦い方をするのか、と。

「前に戦ったときは派手に吹き飛ばしていたじゃない」と、アウラは80年前の戦いを振り返る。フリーレンの頭の中にも、勇者一行の仲間たちの姿が浮かんだ。倒れた“首無し騎士”たちに祈りを捧げるハイター。黙とうを捧げるように目をつむるアイゼン。そして、いつになく真剣なまなざしでフリーレンに話しかけるヒンメル。アウラの質問に、フリーレンは「後でヒンメルに怒られたんだよ」と返し、倒れた鎧の汚れを自らの袖で拭う。フリーレンは成長していた。「私はもっと人間を知ろうと思う」と、かつてヒンメルがあの世へと旅立ったことをきっかけに始めた、この旅路の中で。

フリーレンの変化に気がつかないアウラは、「ならますます、こんなことをする必要ないでしょ?」と不思議がる。感情の機微を理解できないのだろう。「どうして?」と聞き返すフリーレンに続けて放った何気ないその言葉は、彼女の心をこの上なく逆撫でた。「ヒンメルはもういないじゃない」。…ゆっくりと立ち上がるフリーレン。「そうか。よかった。やっぱりお前たち魔族は化け物だ」。アウラを見据えるその目には、カケラほどの同情も残っていなかった。

ヒンメルの葬式にて あの日の涙が今の旅に繋がっている(画像は第1話「冒険の終わり」より引用)

◆敵ながら天晴れ アウラの“名セリフ”

フリーレンの仲間を思う心と比較するように、魔族の果てしない冷酷さが描かれた第9話。放送を受けてSNSでは「アウラとの決裂は必定」「フリーレン、アウラをこんてんぱんにしてよ!」など、フリーレンの気持ちに寄り添う声が多く上がった一方で、「ヒンメルはもういない」というアウラの発言を「名セリフ」と評する声も。「アウラ本人は至極まっとうな事を言ったつもり」「本当に不思議そうな様子でキョトンと言うのが、どこまでいっても人の心が分からない魔族の言葉って感じがして完璧」などと、敵ながらにその卓越したキャラクター性を称賛していた。

また原作を読んでいたファンからは、「竹達さんの演技は解釈一致だった」「マジでイメージ通り過ぎる」「本当に感謝」と、アウラの声優を担当した竹達彩奈の演技に納得する声が多数寄せられた。魔族への情けを完全に捨てたフリーレンと、「服従の天秤」を操るアウラ。形勢はどちらに傾くのか。『葬送のフリーレン』次話「強い魔法使い」は、11月10日(金)よる11時「FRIDAY ANIME NIGHT(フラアニ)」(全国30局ネット)にて放送予定。

写真提供:©山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会

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