熊野古道・世界遺産登録20周年~三重県・三重交通の取り組み~

熊野古道とは・・・

熊野古道は熊野三山と呼ばれる熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社に通じる参詣道です。熊野は古事記、日本書紀では神武東征ルートの通過点で、神武軍が生駒山麓で苦戦した後で攻勢に転じる転換ポイントとなった地です。平安時代には歴代の天皇や上皇、多くの貴族が参詣に訪れ、近世以降には武士や庶民も多数訪れる信仰の地となりました。

伊勢神宮から続く伊勢路・馬越峠

熊野古道は世界文化遺産として登録されてから来年で20周年を迎えます。奈良県、和歌山県、三重県から熊野三山に至る6つの参詣道からなり、和歌山県と三重県ではキャンペーンの準備が進められています。

伊勢神宮が基点に・・・

三重県側からの熊野古道は伊勢神宮を起点とするため伊勢路と呼ばれます。熊野古道は山中を通るため、道が埋もれてしまわないように石畳で舗装されたところが多く残っています。伊勢路では馬越峠(まごせとうげ)が代表的です。

2024年、三重交通は創立80周年を迎えます

伊勢路一斉クリーンアップ作戦

三重県ではこれまで地元ボランティア団体や地元の観光協会、高校などと共同で、毎年熊野古道の清掃活動をされてきました。三重交通では、今年12月にこの清掃活動に参加するとともに、一般のボランティアの方を募集して無料バスを運行することになりました。幸いにも多数のご応募をいただき、参加者数は募集枠を超えました。来年三重交通は創立80周年を迎えるため、そのプレイベントとして熊野古道の整備と注目度向上にお役に立ちたいと考えた次第です。

(ボランティアバス募集ページ)

世界遺産登録20周年、知恵を絞って観光客誘致を!

現在では熊野古道を歩く人はもっぱら観光客となりましたが、大都市圏からのアクセスが不便なこと、訪れる方が歴史的意義や信仰の道としての神聖性に関心が深い方に絞られていることから、観光地としての集客力が弱いことが悩みです。歩く人が少なければ古道は枯れ木や落ち葉で埋もれていきます。そのため整備活動も欠かせません。世界遺産登録20周年を機にどれだけ観光客誘致ができるか、これからが知恵の絞りどころとなります。

(これまでの寄稿は、こちらから)

寄稿者 増田充康(ますだ・みちやす) 三重交通GHD 取締役

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