第3回「地域団体商標」を権利化するのにはどうすればいいの

■地域団体商標を取得するには

まずは、特許庁に出願をし、審査を経て、最終的に登録料金を納付する必要があります。特許庁への出願方法は2つあり、オンラインもしくは書面で行います。

権利期間は設定登録の日から10年ですが、更新手続きを行うことが可能となっていますので、半永久的に権利を存続させることができます。

地域団体商標の場合、出願から登録されるまでの期間は平均およそ18カ月です。これは平均の値ですので、案件によっては登録まで複数年かかるケースもあります。

■地域団体商標の登録要件とは

地域団体商標として登録されるためには、満たすべき4つの主な要件があります。

1つ目が、登録主体に関する要件です。地域団体商標制度は地域のブランド化の取り組みをサポートすることを目的としているので、登録できる主体についても地域に根差して地域ブランド活動を行っている団体に限定されています。具体的には、法人格を有する事業協同組合、商工会、商工会議所、NPO法人などです。

2つ目が、商標の構成に関する要件です。地域団体商標として登録できる商標は、「地域の名称」と「商品・サービス名」などの組み合わせからなる文字商標となります。したがって、文字そのものを顕著にデザイン化したり、文字以外に図形要素を追加したりした場合や、「さつまいも」「いよかん」「野沢菜」「伊勢海老」「奈良漬け」のように、一連で普通名称に該当してしまう場合には、地域団体商標として登録することはできません。

3つ目が、「地域の名称」と「商品・サービス」との密接関連性に関する要件です。商標中の「地域の名称」と出願前から商標の使用をしている「商品・サービス」とが密接な関連性を有することが求められます。出願された商標が地域の名称から想起させるイメージを利用しただけであり、実際には地域と関連しない商品・サービスに使用されている場合は対象外となります。例えば、商標中の地域の名称が「北海道」であるにも関わらず、「東京で生産された米」のように、北海道とは全く関連性のない商品に使用している場合です。

4つ目が、周知性に関する要件です。地域団体商標として登録を受けようとする商標は、需要者の間に広く認識されている必要があります。具体的には、指定商品・指定役務の種類及び流通経路などに応じて一定範囲の需要者に認識されていることが必要となります。地域団体商標の登録を受けるために必要な要件をいくつか紹介しましたが、周知性が原因で権利化できないケースが非常に多くあります。出願人又はその構成員が商標を使用することによって、商標が出願人又はその構成員のものとして一定程度の需要者の間に広く認識されていることが認められる資料の提出が必要となりますので、日々証拠として提出できそうな資料を整えていただくことが重要です。

さて、第4回は、「地域団体商標を活用するためのヒント」についてお話します。

★さらに詳しく知りたい方はこちら!

特許庁発行「地域団体商標ガイドブック~カタログ編~2023」

地域団体商標制度の概要、制度に関する支援策、登録されている742件(2022年12月末時点)の地域団体商標を掲載しています。

地域団体商標ガイドブック表紙

寄稿者 特許庁 商標課地域ブランド推進室

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