東京3位維持も、「経済」は過去最低に ―森ビル都市力調査、「金融」も評価に

(提供:日刊不動産経済通信)森ビルの森記念財団・都市戦略研究所(所長=竹中平蔵・慶應義塾大学名誉教授)は9日、毎年まとめている「世界の都市総合力ランキング」(GPCI)の23年版を発表した。トップ5に変動はなく、東京は3位で、1位のロンドン、2位のニューヨークに続いたが、総合スコア数は下落した。分野別にみると、16年時点で東京が1位だった「経済」が10位に下がり、過去最低となった。

東京の経済分野の順位が低下した要因としては「優秀な人材確保の容易性」(48都市中40位)、「GDP成長率」(同47位)、「法人税率の低さ」(同43位)など、長年指摘されてきた課題が改善されていないことを挙げた。一方、東京の順位が大きく上昇したのは「居住」分野で、前年の11位から過去最高の3位に上昇した。為替変動の影響を受けて「住宅賃料水準の低さ」「物価水準の低さ」のほか、小売店舗や飲食店など生活利便施設の多さが順位を押し上げた。

従来の都市総合力ランキングでは経済、研究・開発、文化・交流、居住、環境、交通・アクセスの6分野で評価してきたが、今回から新たに「金融」分野を加えたランキングも別途まとめた。金融分野の評価を加えても、東京は3位だったが1位のロンドン、2位のニューヨークとのスコア差はさらに開いた。

竹中所長は「金融分野でロンドンがニューヨークを超えたのは、サッチャー英政権が国営企業を売却することで、資産市場が活性化し、高度人材がシティに集まったからだ。東京都は数兆円の資産を持っている。東京の国際金融センターになるために必要なことは明らかだ」と話した。

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