初優勝のディ・ジャンアントニオ、“マッピング8”は「行け、の合図」/第19戦カタールGP決勝トップ3コメント

 MotoGP第19戦カタールGPの決勝レースがロサイル・インターナショナル・サーキットで行われ、優勝したファビオ・ディ・ジャンアントニオ(グレシーニ・レーシングMotoGP)、2位のフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)、3位のルカ・マリーニ(ムーニーVR46レーシング・チーム)が会見に出席。レースを振り返った。

■ファビオ・ディ・ジャンアントニオ(グレシーニ・レーシングMotoGP)/決勝:優勝

「信じられない瞬間だよ。今は少し落ち着いたけど、まだ何が起こったのかわからないんだ! じつは、ひとつだけ言いたいことがあって、マレーシアのあと、僕の将来について起こったことがあるんだ。でもそれは、いいことじゃなかった。大きな怒りを感じて家に帰ったよ」

「2、3度、親友たちや家族と話をして、僕は『勝てると思っている』と言ったんだ。みんなは『言わずにやったほうがいいよ。言葉にしたら、エネルギーはすぐにどこかにいってしまうから』と言う。でも僕は、『いやいや。今、君に言うんだ。僕は優勝する』と返した。確かに、全部をよくしないといけないし、タフにやらないといけない。それは簡単なことじゃなかった。でも、僕たちは成し遂げたんだ」

「もちろん、(バニャイアとの優勝争いは)タフだったよ。彼はチャンピオンで、何度も優勝している。今日のような状況を、うまくコントロールする方法を知っているんだ。それに、今、チャンピオン争いをしている。だから当然、僕はかなり気を付けないといけなかった。誰かのレースを壊すような、ばかなことはしたくなかったからね」

「彼に申し訳ないことをしたとは思ったよ。彼からポイントを奪ったんだからね。でも、僕も初優勝のチャンスだったんだ。だから仕掛けてみたし、うまくいった。(バトルは)クリーンだった、と思うんだけどね……」

「(レース中に出された“マッピング8”のメッセージについて)僕たちはかなり厳密にレースのプランを立てた。『いいスタートを切り、1周目はこのポジションにいて、レース中盤はタイヤマネージメントのためにこのポジションにいる』という具合にね」

「それから、僕たちはあるときにシグナルを出すことに決めていた。あのメッセージは、『行け』という意味なんだ。ピットボードがよく見えなくて大変だったよ。それに、残り何周かもわからなかった。すごく大変だったけど、『マッピング8』と出たものだから、『行くときだ』と思ったんだ。それで攻め始め、ペコ(フランセスコ・バニャイア)をかわしたんだよ」

「(自分の将来について)何度も言ったから、もううんざりなんだけどね。だって、僕はいつもここにいて、同じことを言っているみたいだから。でも、これがMotoGPで今、起きていることだ」

「僕はMotoGPクラスに上がって2年目で、いい仕事をしているし、結果を出すタイミングという点では十分だと思う。このクラスはそう簡単じゃないから、いろいろと時間が必要だと思うんだ。そうだね、怒りはあったよ。懸命にやってきたんだ。頑張っても頑張っても結果が出なくて、近づいては失った。だからね、何もかもくそくらえだと思って、ただトライした。それだけが、今の僕の武器なんだ」

ディ・ジャンアントニオはバニャイアをかわして優勝を飾った

■フランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)/決勝:2位

「うれしいけど、100%じゃないな。昨日は予想していたとおりで、あのペースのこともわかっていた。今日は全部、パーフェクトだったんだ。スタートから攻めて、自分の理想のレースにしようとした。トップに戻ってこられたし、攻めていられて、それに久しぶりにいいペースで走れたからいい気持ちだった。だから、すごくうれしいんだ。このペースを見せられて満足している」

「でも、2021年のヨハン・ザルコのときと同じミスをしたものだから、それについて不満だ。それはうれしくない。ミスから学ぶものだからね。とにかく、彼(ディ・ジャンアントニオ)の後ろでスリップストリームがあんなに利くとは思わなかったし……、まあ、満足だと思わないとね。ディッジャ(ファビオ・ディ・ジャンアントニオ)はこの週末、素晴らしかった。ペースも僕より速かった」

「彼のペースは予想していたけど、レースがこんなにハイペースになるとは思わなかった。昨日と同じくらいのペースだった。コンディションもだいたい一緒。周回数が少なくなってきたら、攻められるのが普通だ。でも、ペースがかなり速くて、僕が攻めて走っても、彼はずっとついてきた。だから、『彼は今日、僕よりペースがいいんだな』と思った。頑張ってみたけど、うまくいかなかったね」

「ホルヘ(・マルティン)のスタートはかなり悪く、大きく後退した。ただ、それから彼がペースに苦しんでいるとわかった。何があったのかわからないけど、たぶん、昨日、僕にも同じようなことが起こっていた。わからないけどね」

■ルカ・マリーニ(ムーニーVR46レーシングチーム)/決勝:3位

「この週末についてはすごく満足しているよ。バイクのフィーリングもよかった。おそらくいちばん速いというわけじゃない、ということはわかっていたよ。ファビオ(・ディ・ジャンアントニオ)は金曜日からすごくいいペースで走っていたからね」

「ただ、残念だ。ペコは素晴らしいスタートを切った。僕もうまくスタートして、トップに立って、後ろを引き離す予定だったんだ。僕はフロントにソフトタイヤを選んでいたから、序盤の2周、左コーナーでアドバンテージがあると思っていたからだ」

「ただ、ペコが前に出たので、『よし、タイヤをマネージメントしよう』と考えた。でも、ファビオ(・ディ・ジャンアントニオ)とアレックス(・マルケス)が僕の後ろにいてかなり攻めていて、僕をオーバーテイクしていった。僕はアレックスとブラッド(・ビンダー)とやりあうのに時間をとられてしまった。というわけで、優勝のチャンスを逃してしまったんだ」

「でもしっかりタイヤをマネージメントした。ソフトのフロントタイヤは、温度が上がりすぎると走るのが難しくなるからね。自分のパフォーマンスについては満足しているよ。タイヤマネージメントはうまくいった。優勝争いができるペースはあったと思うけど、それまでに時間をかけすぎてしまった」

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