カニ漁師が船上から目撃した巨大生物 「海の豊かさの象徴」沖縄・伊良部島沖で生息確認  県や漁師ら保護対策を議論

 ジュゴン保護対策宮古諸島関係者連絡会議(主催・県自然保護課)が9日、宮古島市役所で行われた。県、市、環境省、漁業関係者、海洋レジャー団体の代表らが参加し、宮古島周辺海域のジュゴンの保護について話し合った。(宮古支局・當山学)

 宮古島では公式で1965年に捕獲されたのが最後だった。近年は先島諸島で複数の目撃情報が寄せられ、2022年に一般財団法人沖縄県環境科学センターなどの共同研究チームが伊良部島沿岸でジュゴンのDNAを含むふんを採取した。

 伊良部島のカニ漁師、吉浜崇浩さんは19年12月の夜に黒浜御嶽近くの海で船上から妻が約3メートルの巨大生物を目撃したと報告。翌年に吉浜さん自身も目視し、22年9月にジュゴンの親子とみられる個体をドローンで撮影した。吉浜さんは「ジュゴンがいるのは海の豊かさの象徴」と話した。

 同センター総合環境研究所の小澤宏之所長は「宮古島で生息が確認されたのは半世紀ぶり。自然の海岸が残っているのは資産だ」としている。

 県の担当者は「宮古、八重山で分布域が近年増えている」として目撃情報の提供を呼びかけたほか、漁業の網に掛かっていた場合の対処法などを説明。環境省の担当者は「先島が生息地として重要になっている可能性が高い」とし、伊良部島で地元住民と勉強会を開くなど本格的な調査に乗り出していると報告した。

 ジュゴンは沖縄が分布の北限とされ、環境省のレッドリストや県のレッドデータブックで絶滅危惧種に指定されている。

ジュゴンの親子らしき個体の発見を報告する吉浜崇浩さん=9日、宮古島市役所

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