【財政審】「建議」とりまとめ/集中率で調剤基本料1の範囲見直し提言

【2023.11.20配信】財務省の財政制度等審議会は11月20日、「令和6年度予算の編成等に関する建議」をとりまとめた。調剤報酬に関しては、集中率で調剤基本料1の範囲見直すことのほか、基本料に関連づけられる地域支援体制加算1と2の要件については、「地域医療に貢献する薬局を重点的に支援する観点から抜本的に見直す」ことを提言している。

建議の調剤報酬にかかわる提言内容は以下の通り。

■調剤報酬

医師の処方した処方せんに従い調剤を扱う薬局については、近年、その数が大幅に増加している。また、薬学部定員も大幅に増加してきた。

薬局の立地の状況をみると、いわゆる「門前薬局」との指摘がある、診療所や病院の近隣又は敷地内に所在する薬局が大半を占めている。また、薬剤師数が増え、薬剤師1人当たりの処方せん枚数が減少する中にあっても、処方せん1枚当たりの技術料が上昇し、結果として薬剤師1人当たりの技術料の水準はコロナ禍を除き概ね維持されている。〔資料Ⅱ-1-39 参照〕
厚生労働省は、薬剤師について、医師に処方された薬の調製・交付等の「対物中心の業務」から、処方内容を確認し、医師への疑義照会等による重複投薬・相互作用等の防止や、患者への服薬指導などの「対人業務」へのシフトを目指してきたが、その進捗は道半ばである。
調剤報酬については、こうした状況も踏まえて実施された財務省の予算執行調査の結果が公表されている。患者への服薬指導、減薬の提案、重複投薬等の防止等、対人業務を行う薬局を重点的に支援できるよう、調剤基本料・地域体制加算の仕組みを見直すべきである。〔資料Ⅱ-1-40 参照〕

ア)調剤基本料の見直し
調剤基本料は、薬局の運営維持に要するコストを、処方せんの集中率52と受付回数の側面を含めた効率性の観点も含め、経営の実態を踏まえて評価したものである。
実際に処方せん集中率が高い薬局は備蓄している医薬品目数が少ない傾向にあり、その点においては集中率の低い薬局に比べて低コストであるといえる。集中率が高くなるいわゆる敷地内薬局については、誘致が過熱するなどの課題が生じている。
令和2年度(2020 年度)診療報酬(調剤報酬)改定では、一部の処方せん集中率が高い薬局を、点数がより低い調剤基本料2や調剤基本料3イの対象とする見直しを行っているが、その影響は極めて限定的であり見直しは不十分である。
また、財務省の調査によれば、処方せん集中率が高い薬局であっても、集中率が低く小規模な薬局と同様に調剤基本料1が算定されている実態が認められる。
このため、経営の実態も踏まえつつ、処方せん集中率が高い薬局等については、調剤基本料1の適用範囲等を見直すべきである。〔資料Ⅱ-1-41 参照〕

イ)地域支援体制加算の見直し
地域支援体制加算は、地域包括ケアシステムの中で地域医療に貢献する薬局を評価するものであり、地域医療に貢献する体制を有することを示す実績等の基準を満たした薬局に適用することとされている。
一方で、調剤基本料1の薬局を対象とした地域支援体制加算1(39 点)及び2(47 点)は、それ以外の調剤基本料の薬局を対象とした地域支援体制加算3(17 点)及び4(39 点)に比べ、実績に係る要件が大きく緩和されている。
このため、調剤基本料1の薬局を対象とした地域支援体制加算1及び2の要件について、地域医療に貢献する薬局を重点的に支援する観点から抜本的に見直すこととし、例えば、処方せん集中率が高い薬局の後発品調剤割合要件の見直し、残薬への対応や減薬の提案に係る実績を必須化する、「地域連携薬局」の認定を受けていることを要件化するといった措置を講じるべきである。〔資料Ⅱ-1-42 参照〕

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