「外国籍教員の教諭任用を」 主任や管理職になれず 和歌山県教委に改善要望へ、県教職員組合

外国籍教員の教諭任用を訴える小学校講師のルーク・ザレブスキーさん(左)と和歌山県教職員組合の川口貴生書記長=和歌山市で

 和歌山県教職員組合は、外国籍教員の教諭任用を求める運動をしている。日本国籍を持っていない教員は、教員採用試験に合格しても教諭になれず、主任や管理職にもなれないことは、労働基準法が禁じる「差別的取扱」に当たるとして、年内にも県教育委員会に改善を要望する。

 組合によると、日本の教員免許状を取得し、公立学校の教員採用試験に合格、正式採用されれば教諭となる。教務主任や進路指導主任、学年主任などの主任や管理職は教諭がなるとされている。

 一方、外国籍の教員は採用試験に合格しても教諭になれず「任期の期限を付さない常勤講師」の扱い。県内の場合、待遇については、一般的な講師と異なり、教諭と同一に設定されているが、教諭ではないので主任や管理職になれない。

 和歌山県を含む多くの教委では、1991年の国の通知に基づき、外国籍教員は「常勤講師」として運用しているが、東京都などでは教諭として採用し、主任などに就くことも可能にしているという。

 組合の川口貴生書記長と、オーストラリア出身の県内の小学校に勤務するルーク・ザレブスキーさん(45)が、和歌山市で記者会見を開いた。

 県内で採用されて20年目というザレブスキーさんは、担任や部活指導、教科指導など教諭と同様の業務をしてきた。数年前に勤務していた中学校で、校長から「本来は学年主任をしてもらいたい。ただ、教諭ではないのでできない」と告げられたという。

 ザレブスキーさんは「校長が描いていた学校運営が、国籍の違いのためにできなかったことに申し訳ない気持ちがある」とした。その上で「経験や能力で判断してもらいたいのに、20年のキャリアが無視されていると感じた。学校に貢献できるようにしたい」と話した。

 このことについて、県教委の担当者は「国の通知に基づいて運用しているところで、問題はない」との認識を示している。

 組合は署名を集め、年内に県教委に要望する予定。約2500筆集まったが、さらに賛同者を募っており、協力を求めている。また、他府県でも同様の運動があるといい、全国に拡大したいとしている。

 詳細は県教職員組合の電話(073.423.2261)かホームページで。

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