物流・運送業界の時間外労働の上限規制、70%以上は「把握している」 jinjer調べ

jinjerは11月20日、同社が物流・運送業界に携わる企業の人事担当者に行った、「物流・運送業界における勤怠管理」に関する実態調査の結果を発表した。時間外労働の上限規制について70%以上が「把握している」と回答する一方、「労働時間の集計が正しくできている」との回答は30%以下であった。

jinjerによると、物流・運送業界における「2024年問題」の1つに、トラックドライバーの労働時間が、全産業と比較して年間約2割長いという問題があるという。

この問題を緩和する施策として、国土交通省では、2024年4月から「働き方改革関連法」に基づいて、現行制限なしのところを、「年960時間(休日労働含まず)」の上限規制を適用。併せて、トラックドライバーの休憩時間も含めた拘束時間についても、上限を引き下げる。

今回の調査は、この時間外労働の上限規制を遵守するために、トラックドライバーを始めとした物流・運送業界において、正確な労働時間の集計体制がどの程度整備がされているのかを把握するためのもの。

調査は、10月30日より11月6日までの期間、運送・輸送業に携わる企業の人事担当者445名を対象に、インターネット調査の形式で実施された。

調査の結果、「2024年から施行される時間外労働の上限規制の把握状況」については、「詳しく知っている」の37.8%と、「聞いたことがあり、なんとなく内容も知っている」の38.9%を合わせ、76.6%の企業が「把握している」と回答し、認知度は高い傾向にあった。

その一方で、「聞いたことがあるが、内容はほとんど知らない」が16.2%、「聞いたことがない」が7.2%と、法改正について把握していない企業もが30%弱存在する。

次に、「時間外労働の上限規制に対する対応状況」については、「体制整備に取り組んでおり、労働時間を正確に把握できていると感じる」と回答した企業は26.7%で、30%を下回るという結果。

「体制整備に取り組んでいるが、労働時間を正確に把握できているか一部不安がある」の33.3%、「まだ取り組んでいないが、これから整備を検討している」の11.7%を合わせても、約40%強にとどまり、jinjerでは、「物流・運送業界においては、労働時間の上限規制適用に対する体制整備がまだまだ進んでいない現状にある」と分析している。

従業員の労働時間の集計方法については、「タイムカードやExcelによる集計」が29.9%、日報等による従業員の自己申告」が23.4%と、全体の半数以上が日報やタイムカードで勤怠を管理しており、その80%弱が、労働時間の正確な把握について、「不安がある」と回答している。

「2024年からの労働時間の上限規制に向けて、勤怠管理システムへの移行を考えていますか?」の質問に対しては、「考えており、既に取り組んでいる」は8.7%にとどまるも、「移行を検討している」が25.7%、「取り組むかどうか検討している」が38.5%という結果。その一方で、「取り組む予定はない」という企業も26.7%存在した。

「考えており、既に取り組んでいる」「移行を検討している」「取り組むかどうか検討している」と回答した企業が導入を考える勤怠管理システムについては、「サービス型(SaaS、クラウド)」が46.7%と最も多く、次いで「オリジナル開発」が29.9%、「パッケージ型(オンプレミス)」が19.7%という結果。

また、勤怠管理システムを導入する際の課題については、「新たにコストが発生すること」が50.0%と最も多く、次いで「推進できる人材がいないこと」の23.5%、「技術的なハードルが高いこと」の19.8%であった。

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