県民文化会館前の県有地に国際会議室、宴会場、宿泊などの機能を導入へ 愛媛県は「このままだと“ゆでガエル”状態になってしまいかねない」と危機感

愛媛県が新たな活用策を検討していた県民文化会館前の県有地について、中村時広知事は、国内外から人を呼び込むため、国際会議や宿泊などができる機能を備えた施設整備へ民間からアイデアを募る方針を明らかにしました。

中村時広知事
「G7やG20サミットの関係閣僚会合クラスの国際会議に対応できる会議室機能、バンケット機能、また、主要国のVIPが宿泊可能なスイートルームを備えた宿泊機能」

中村知事は、県内には宴会場を備えたグレードの高いホテルなどの減少により、国内外から人を呼び込む機能が低下しているとして、県文前の県有地には、その機能向上を図る施設が必要だと訴えました。

そのため▼国際会議に対応できる会議室▼宴会場▼宿泊機能を含めた「集客・交流施設」の整備へ、21日から民間のアイデアを募集する考えを明らかにしました。

そして、年度内に事業者を決定し、官民連携事業として施設を整備・運営する方針です。

一方、中村知事は、JR松山駅前や市駅前の再開発など、松山市のまちづくり計画について苦言を呈しました。

中村時広知事
「懸念しているのが、街の中心部の更地が拡大しているということ。いわば街の中心部が溶け始めていると言ってもいいと思います。これを現状どう認識しているのかという観点で危機感を持った方がいいんじゃないかな、と」

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あらためて県文前の土地について経緯を振り返ります。

県文前の土地は、文化交流施設の整備を目的に、愛媛県が2003年に約19億5000万円で購入しましたが、構想は具体化しませんでした。

2019年には、経済界から水族館の建設計画が持ちあがったものの、今年2月、長引くコロナ禍などを踏まえ、その活動は中止となっていました。

そして、県のホームページで自由にアイデアを募るなどして、20日に示されたのが、国際会議や宴会、宿泊ができる機能を備えた「集客・交流施設」です。

背景には、隣の香川県高松市などでこうした施設整備が進んでいることがあります。

実際に高松では、今年7月にG7の大臣会合も開催されるなど、愛媛県はこのままだと“ゆでガエル”、つまり手遅れになってしまうと危機感を抱いているわけです。

県は21日から、民間事業者を対象にあらためて企画提案を募集することにしていて、中村知事は「新たな人の流れを生み出し地域経済の活性化につなげたい」と期待しています。

県内有数の観光地・道後温泉にも近い県文前のエリアが、今後どのように生まれ変わるのか注目されますが、まちづくりは面で進めることも重要です。

そのため中村知事は「遅れているJR松山駅周辺の魅力的な再開発を急いでほしい」と松山市に注文をつけています。

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