【独自】神戸の国公私立10大学、必修科目で単位互換制導入へ 久元市長、本紙インタビューで

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 地域を支える人材育成に向けて連携強化しようと、神戸市内の国公私立の10大学は、市や企業も交えて一般社団法人「大学都市神戸 産官学プラットフォーム」を設立する。文部科学省の認定が得られれば大学間で、卒業や進級に必要な必修科目を単位互換できるようにするなど、各大学の持ち味を生かしたグループ運営を展開する。少子化で学生の確保が厳しくなる中、学びの選択肢を増やし、生き残りを図る。

 20日で就任10年を迎えた久元喜造市長が神戸新聞社のインタビューに答えた。

 少子化で2040年には大学進学者が現在(約63万人)より2割減になるとの推計もあり、文科省は大学それぞれの「強み」を生かす連携の仕組みなどを提案。兵庫県内の50大学・短大のうち、半数近い23校が集まる神戸市などは危機感を強めていた。

 プラットフォームには、国公私立の垣根を越え、神戸大や県立大、市外国語大、神戸学院大、甲南大など10校と市立工業高等専門学校が参加。市がコーディネーターを務め、19の企業・団体も名を連ねる。

 連携の中核を担うプラットフォームは今後、文科省が創設した「大学等連携推進法人」への移行を目指す。認定されれば、参画する大学同士が単位互換できる「連携開設科目」を設け、各大学の特色を生かした多様な学びの機会を提供。進学で大阪や京都に出る若者の引き留めや学生の取り込みを狙う。

 同時に各大学は設置科目を減らすことができ、事務の合理化を進め、人材の有効活用を図れるメリットもあるという。25年度までに文科省に申請する方向で調整しており、これまで全国で4件が認定されているが、10校という大規模連携は異例となる。

 一方、プラットフォームには、損保ジャパンやNTT西日本、三井住友銀行などの企業も参加。神戸市内の大学生が卒業後、地元で就職する割合が2割にも満たないため、人材確保や定着を大学や自治体とともに模索する。研究や商品開発でも連携し、新たなプロジェクトを展開する方針。

 久元市長は「産官学の連携を強化して人材確保を進め、大学や企業が抱える共通の課題解決に力を入れる。グローバル社会で神戸が存在感を発揮できる取り組みを戦略的に展開したい」と語った。(金 旻革)

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