別工事で20万円受領 加重収賄容疑で小泉町長、再逮捕

小泉勝容疑者

  ●石川県警、贈賄容疑で業者逮捕 「現金渡した」

 志賀町発注工事の入札を巡り、町長の小泉勝容疑者(57)らが逮捕された贈収賄事件で、石川県警は20日、道路工事の入札で最低制限価格を漏らした謝礼に現金20万円を受け取ったとして、小泉容疑者を加重収賄や官製談合防止法違反などの疑いで再逮捕した。贈賄などの容疑では米木(よねき)工務店(同町)代表取締役の米木義則容疑者(68)も逮捕。関係者によると、米木容疑者は県警の任意聴取に「町長に現金を渡した」との趣旨の説明をしており、県警は裏付けを進める。

 小泉容疑者の再逮捕容疑は、町が今年6月7日に実施した「町道第155号高浜志賀の郷線道路改良工事(その3)」の一般競争入札で、同月上旬に最低制限価格2491万9千円(税別)を米木容疑者に漏らして米木工務店に同額で落札させ、謝礼として現金20万円を受け取った疑い。米木容疑者は小泉容疑者に現金を渡した疑いが持たれている。県警は認否を明らかにしていない。

 この入札には米木工務店を含む8社が参加。当時、500万円以上の工事の最低制限価格は町長の小泉容疑者が決定し、入札まで町長以外は知ることができない仕組みだった。町は町長逮捕後、最低制限価格を実際の入札価格の平均額から算出する変動型に改めた。

 町発注工事の入札に関しては、県警が米木工務店など複数の地元業者を捜査していた。米木容疑者は逮捕前、北國新聞社の取材に「夏ごろに警察が来たのは間違いないが、何も話すことはない」と述べていたが、県警や周囲には、町長に金銭を渡したことを打ち明けていたとみられる。

 志賀町堀松の米木容疑者宅には20日午前6時40分ごろ、捜査車両2台が到着した。報道陣がカメラを向ける中、数人の捜査員が屋内に入り、20分後に米木容疑者を乗せたとみられる1台が裏口から出発した。

  ●小泉容疑者、青谷工業社長を起訴

 金沢地検は20日、一部罪名を切り替えて加重収賄などの罪で小泉容疑者を起訴し、贈賄などの罪で青谷工業社長の青谷武容疑者(83)を在宅起訴した。小泉容疑者の妻で会社役員の美穂容疑者(56)は同日に処分保留で釈放となり、地検は、青谷容疑者の妻で青谷工業取締役の勝美容疑者(76)=贈賄などの容疑で逮捕、処分保留=と同じく任意で捜査を続ける。

 加重収賄罪は、賄賂を受け取って職務上の不正な行為をしたり、本来するべき行為をしなかった際に成立する。法定刑は「1年以上の有期懲役」で、依頼された上で賄賂を受け取る受託収賄罪(7年以下の懲役)より重いとされる。児堀達也次席検事は、加重収賄罪を適用した理由について「証拠に基づいて事実を認定した」と述べた。

  ●電話で価格伝える

 起訴状によると、小泉容疑者は武容疑者らに電話で最低制限価格を伝えた。

 捜査関係者によると、青谷工業側から贈られた現金50万円は、勝美容疑者から美穂容疑者に手渡されたとみられる。

米木義則容疑者
米木容疑者宅に入る捜査員=20日午前6時40分、志賀町堀松

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