米国オハイオ州でペットOK物件の家主への税控除の法案を提出

アメリカで、ペット可賃貸住宅の家主への減税法案

動物と暮らしている人が引越しをする際に、しばしばネックになるのがペットOK物件の少なさです。これは日本に限らず、他の国でも多くの飼い主さんを悩ませている問題です。

ペット可とされる住宅であっても、犬の場合はサイズに制限がある場合も多く、犬の飼い主さんの苦労はさらに深いものとなっています。

アメリカも同じ悩みを抱える国のひとつですが、オハイオ州の州議会では犬や猫のペットOKの賃貸住宅の家主に対する減税法案が提出され、現在検討されているところです。

法案提出の裏には、動物保護団体への引き渡し増加という事情

この法案は、元々は同州の大規模動物保護団体が提案したアイデアに基づいています。物価高騰に伴う賃貸住宅の家賃の値上がり、そのために引越しが必要なのにペットを受け入れる住宅を見つけることが難しいことから、動物保護団体へのペットの引き渡しが増加しており、保護施設の収容能力が危機におちいっているからです。

州議会議員にアイデアを提案したのは非営利団体ですが、税金を使って運営されている公営の動物保護施設でも事情は同じです。これは公営保護施設での殺処分の増加などのコストが増えることを意味します。

税金の控除もコストの増加であることは同じですが、両者の心理的な影響の違いは大きなものです。ペットの飼育を諦めなくてはならないことによる心身の健康への影響には、マイナスの経済効果が隠れている可能性もあります。

賃貸住宅1戸につき750ドルの税額控除を提案

この法案は、コンパニオンアニマルを受け入れる家主の住宅1戸につき750ドルの税額控除を提案しています。対象となる住宅は最大10戸とし、賃貸住宅所有者は年間7,500ドルの税額控除を受けられる可能性があります。

この控除をうけるためには、ペットがいることを理由に賃借人に返金不可の保証金を貸したり、高い家賃を設定することはできません。

またオハイオ州ではいくつかの自治体で特定の犬種の飼育を禁止していますが、これらの犬種を除いて犬のサイズや犬種によって賃借人を制限することもできません。

この法案が目指すところは、家主にペットを飼う賃借人を受け入れることを義務付けるものではなく、受け入れを奨励するものです。所有する物件が少ない小規模な家主にとっては、この税控除は利用しやすいと考えられます。

しかし州議会の中には、この法案に懸念を示している議員もいます。自分自身が家主として賃貸物件を持っているある議員は、750ドルという金額はペットを受け入れるだけの魅力がないと述べています。

まとめ

アメリカのオハイオ州議会において、ペットを飼っている賃借人を受け入れる家主に対して、年間最大7,500ドルの税控除を提供しようという法案が提出されているという話題をご紹介しました。

もし法案が可決されれば他の州にも影響を与えることが考えられますので、この行方は気になるところです。

法令ではありませんが、イギリスでも政府が賃借人のペットを受け入れることを家主に推奨する姿勢が示されています。
https://wanchan.jp/column/detail/25436

賃貸住宅の条件という個人の努力ではどうにもならない事情について、政府や自治体が何らかの支援を打ち出しているというのはうらやましく感じますね。

《参考URL》
https://www.statenews.org/government-politics/2023-11-08/bill-offers-ohio-landlords-tax-credits-for-dog-and-cat-friendly-units

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