世界遺産の神社がデジタルシフト!?日光東照宮から見る観光業界の課題

今年9月、世界遺産の日光東照宮に、KKdayグループが開発、運営する観光事業者向け基幹システム「rezio(レジオ)」を導入いただきました。

rezioとは、予約サイトの作成からオンライン決済や電子チケットの導入によって国内外からの予約を容易にし、さらに予約・在庫管理によって従業員の業務負担を軽減する、観光事業者のDX を推進するシステムです。

昨今、さまざまなところで観光DXという言葉を聞きますが、今回はrezioを導入した日光東照宮を事例に、観光業界が持つ課題と、観光DX(デジタル・トランスフォーメーション)によって実現できることについてお話していきます。

日光東照宮## 日光東照宮とは

日光東照宮は、皆さんもご存知の通り、徳川家康公が祀られた神社です。世界遺産「日光の社寺」の1つでもあり、境内には国宝、重要文化財を含む55棟の豪華絢爛な建造物が並びます。

また、春には最も盛大に行われる神事「春季例大祭」のほか、秋には美しい紅葉、冬には雪景色が眺められるなど、季節によって異なる景色を見ることができるため、年間に約250万人が参拝に訪れます。特に紅葉シーズンには、3週間で数十万人の参拝者が訪れます。

近年はインバウンドにも人気が高く、「五重塔」や「表門」、国宝に指定されている「陽明門」、「眠り猫」など、多くのインバウンドが日光東照宮で日本の歴史、文化を満喫するために訪れています。

日光東照宮の課題

そんな日光東照宮の大きな課題として、大きく2つ、「繁忙期における日光東照宮側の受け入れ体制」と、「需要の平準化」が挙げられます。

日光東照宮では、これまで拝観券は現地購入がメインであったため、特に紅葉シーズンや大型連休などの繁忙期には、拝観券購入のために長蛇の列が発生していました。さらに、年々インバウンド需要が増加する一方で、公式サイト上では多言語の情報発信が不十分であるために、多言語での現場対応が必要となっていました。そのため拝観受付所の慢性的な混雑が課題となっていました。

それにより、拝観者をさばき切るためにスタッフが不足していることや、これまで膨大な拝観者をアナログな方法で管理していたことから、スタッフの業務負担が課題となり、拝観者の満足度低下につながる恐れもありました。また、日光東照宮は繁閑期の差が大きく、閑散期の集客を強化することで需要の平準化を目指す必要があり、そのためには平日にも旅行をしている訪日外国人の集客が急務となっていました。

rezioによる観光DX推進で課題を解決

上記のような課題は、多くの日本の観光事業者の課題として挙げられるのではないでしょうか? この課題に対してrezioを導入することで、以下のようなことを解決することができます。

1.拝観券購入のための混雑解消

2.閑散期における訪日外国人の集客

3.日光東照宮内の回遊性促進

4.拝観者管理のデジタル化による従業員の業務改善

日光東照宮では、まず電子チケットシステムを導入することによって、神社運営のインフラを整備することから始まりました。これにより拝観券購入による混雑の解消に実現し、またオンライン上で英語や中国語(繁・簡)、韓国語などで拝観券購入ページを作成し、繁閑期関係なく日本で旅をするインバウンドへの集客にもつなげています。

実際にお客様からも、「紅葉シーズンの三連休で長蛇の列ができていたが、事前に拝観券を購入したため、列に並ぶ時間を大幅に削減出来た。」など好評の声をいただいています。

さらに日光東照宮は、先述した通り、境内には55棟の建造物が建ち並んでいますが、その中の1つである美術館は、近代日本画の巨匠による作品約100点が展示されているなど貴重なスポットですが、表門から少し奥まった場所にあります。

そこで日光東照宮内の回遊性を高めるため、東照宮+宝物館+美術館+五重塔心柱(特別公開)のチケットがセットとなった「みどころ満喫セット」をオンライン限定で販売開始しました。これによって、拝観者の満足度向上とともに、閑散期でも楽しめる日光東照宮の訴求にもつなげています。

また、日光東照宮の従業員にとっても、年々増加する拝観者の対応やアナログな方法での予約・在庫管理への負担に対して、電子チケット化とオンラインでの多言語発信による、拝観者対応の軽減とともに、拝観者の予約管理をデジタル化したことで締め作業を効率化し、業務改善にもつなげています。予約データを自動的に蓄積することができるため、これらのデータ活用したマーケティング戦略の検討にも有効です。

rezio## デジタルインフラ整備の重要性

rezioは、日光東照宮のデジタルインフラを整備することによって、世界遺産における持続可能な観光の実現をサポートします。日本の観光事業者のDXは海外と比較するとまだまだ進んでいないのが現状です。rezioを通じて、今後も引き続きそんな事業者の味方となり、観光DXを推進していきます。

寄稿者 王 子軒(おう・じけん)㈱KKDAY JAPAN国内営業部シニアマネージャー

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