食と健康に関する一般書を日米で比較、日本は引用文献の記載が不十分 東京大学が調査

東京大学大学院医学系研究科の大野 富美 大学院生、足立 里穂 大学院生(当時)、村上 健太郎 教授、佐々木 敏 東京大学名誉教授らによる研究グループが日米の食と健康に関する一般書の引用文献記載状況を調べたところ、日米とも約3割が引用文献を明示せず、日本の一般書は米国より引用文献の質や記載の仕方が不十分であることが分かった。

東京大学によると、研究グループはアマゾンなどオンラインブックストアの食と栄養に関するカテゴリー売上ランキングから日米各100冊を選び、すべてのページを確認して引用文献の有無と個数を調べた。

その結果、引用文献を明示している一般書は日本66冊、米国65冊で、日米とも約3分の1が明示していなかった。米国は58冊が学術論文を引用し、そのすべてが人を対象とした研究を記載していたが、日本は学術論文引用が31冊で、人を対象とした研究の引用は29冊にとどまっている。

さらに、人を対象とした研究でシステマティックレビュー※を引用しているのは米国49冊に対し、日本9冊。100件以上の文献を引用した一般書は米国37冊に対し、日本は5冊しかなかった。

文献を引用している一般書のうち、すべての引用文献の書籍情報が記載されているのは米国で97%に達したのに、日本は64%しかなかった。研究グループは日本の一般書が米国に比べ、十分な質、数の引用文献を特定可能な形で提示できていないとみて、引用文献の重要性を認識できるように働きかける必要があるとしている。

※明確に作られた問いに対し、その問いを扱った既存の研究を系統的で明示的な方法を用いて、同定、選択、評価を行い、問いに対する現時点での回答を提示する研究手法。

論文情報:

【Public Health Nutrition】Are popular books about diet and health written based on scientificevidence?: A comparison of citations between the US and Japan

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