パトカーのタイヤ貫通…人々を避難させていた警官に放った弾丸 立てこもり男を再逮捕 さらに突き抜けた弾丸、民家の壁に当たっていた【内容更新】

蕨郵便局の裏手を警戒する警察官=10月31日午後3時40分ごろ、蕨市中央5丁目

 10月31日、蕨郵便局に拳銃を持った男が女性局員2人を人質に約8時間立てこもり、その後、逮捕された事件で、埼玉県警は21日、郵便局に駆け付けた警察官に拳銃を発砲したなどとして、殺人未遂や公務執行妨害、銃刀法違反などの疑いで、無職の男(87)を再逮捕した。捜査関係者への取材で分かった。

 捜査関係者によると、男は同日、通報で郵便局に臨場した警察官2人に拳銃を突き付け、局員らを避難させた警察官へ発砲。さらに路上で警戒していた複数の警察官に対して、もう1発撃ったなどの疑いが持たれている。屋外への1発はパトカーのタイヤを貫通して、向かいにある民家の外壁に着弾した。いずれもけが人はいなかった。

 事件発生は午後2時15分ごろ。局内には20代と30代の女性局員2人が取り残されていたが、午後7時17分に20代職員を解放。同9時4分には30代局員が男の隙を見て逃げ出した。同10時20分に特殊班などが突入し、取り押さえた。県警は男を人質強要処罰法違反で逮捕。同法違反と建造物侵入の容疑でさいたま地検に送検した。

 男は拳銃や複数の銃弾のほかに、10リットルと18リットルのポリタンクに入ったガソリンやライター8本などを持ち込んでいた。捜査関係者によると、捜査員が突入する前に、「ガソリンあるからな」と放火を示唆するような発言をし警察側をけん制していた。

 立てこもり事件の約1時間前には戸田中央総合病院で発砲があり、診察中だった40代男性医師と60代男性患者が全治3週間の負傷。その直前には同市内の男が暮らしていたアパートが全焼する火災があった。男は2件の関与も認めていて、県警が詳しい経緯や動機の解明を進めている。

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