レッドクリフ、世界初の1,000機規模プロポーズドローンショーの舞台裏

今夏、全国各地で展開されたドローンショー。数百機~1,000機のドローンが夜空一面の大きなアニメーションを描く光の演出に感動を覚えた方も多いのではないでしょうか。そして、先日、日本最大規模のドローンショーを展開するレッドクリフが実施したプロポーズ×ドローンショー。1,000機のドローンショーにメッセージを乗せて(レッドクリフ佐々木社長本人が)プロポーズするという、いろいろな意味で前代未聞の演出の裏側をレポートします。

プロポーズドローンショーの舞台はファーム&パーク クルックフィールズ

9月某日、場所は千葉県木更津市にある「ファーム&パークKURKKU FIELDS(クルックフィールズ)」。サザンオールスターズやMr.Childrenなどの音楽プロデューサーとして知られる小林武史氏が総合プロデューサーを務める「農」と「食」と「アート」が融合した複合施設です。東京ドーム5個分の広い敷地の中に宿泊施設やレストラン、自然の中で遊べる遊具などがあります。そして空が暗くなった19:45、この広い空に1,000機のドローンが壮大なアニメーションを舞い、一世一代のプロポーズが決行されることになります。

プロポーズを決行するのは、ドローンショーを企画・運営するレッドクリフ代表取締役の佐々木氏本人。実は、お相手のAyakaさんはプロポーズをされるとは聞かされているわけもなく、この日は「スタッフの誕生日を祝う1,000機のドローンショーを実施する」と言われて普通にドローンショーを見に来ています。もちろん、Ayakaさん以外のスタッフや撮影クルーは全員佐々木氏がプロポーズする事実を知っています(笑)。

17:00~ 1,000機のドローンが並ぶ!設置準備

筆者が現地に到着するとすでに1,000機のドローンがキレイに並んでいました。12名スタッフで配置は数十分でできてしまうとのこと。

現地に到着するとすでに1,000機のドローンがキレイに配置されていた。50cm間隔で配置されているので、1,000機とは思えないほど省スペース

機体は20機が50列をなして50cm間隔で配置されています。こんなに間隔狭く配置して離陸時などに接触しないか心配になりますが、RTK(Real Time Kinematic、GPS等の衛星から受信する信号のズレを補正して数cmレベルの正確な位置情報を取得する技術)によって測位情報の精度を向上しているので安全な距離なのだそうです。

20機×50列に配置された1,000機のドローン
ダンスファイルデータを転送するステーションと奥には三脚に立てられたRTK地上局がある
会場裏には1,000機のドローンを運搬してきた2tトラックが2台停まっていた
また、ドローンは2.4Ghzで運用されるため、スマートフォンのWifiやBluetoothはOFFにする

18:00~ 100機のドローンによるテストドローンショー開始

100機ほどを使ってのテスト飛行を行います。本番の1/10ほどの機体数ではありますが、機体動作環境のチェックやアニメーションの見え方などを確認することができます。夕暮れ時に光り輝くドローンがアニメーションを描く姿はテストとはいえワクワク感がたまりません。

テストドローンショーの様子。100機とはいえ、夕焼けをバックに簡易的にアニメーションを描くようすはコレだけでも感動モノ

ちなみに、一般的なドローンショーでは一部の機体がエラーで飛ばなかったり、ドローンショーの途中で不時着したりしてしまうことがあるのですが(絵柄がドット抜けしたようになる)、レッドクリフの運用するドローンショー専用ドローンである中国HIGH GREAT社製「EMO」は、エラー率が1%未満の運用実績(レッドクリフの運用時)があるといいます。エラー率の低さはロゴやメッセージの表現の際にはとても重要な要素となります。

18:50~ 本番への準備

いよいよドローンショー本番のフライトに向けた準備が始まります。もちろん、これはプロポーズに向けた準備でもあります。ここでもスタッフのみなさんが手際よくバッテリーの交換と電源の投入をしていきます。こちらも作業は5分ほどで終了。スタッフのみなさんの手際の良さには驚かされます。

スタッフが手際よく次々とバッテリー交換&電源投入していく

電源が投入されたら、機体の配置を整えながら「ダンスファイル(飛行プログラムデータ)」を各機に送信、稀に出るエラー機体を再調整していきます。エラーを起こした機体はライトを点灯させてその場所を示し、エラー調整をして再度セッティング。コレを繰り返して離陸時にエラー機体がない状態を作っていきます。

エラーを起こした機体はライトを光らせてその場所をスタッフに知らせる

機体のエラー調整と合わせて最終的に機体位置も調整。特に四つ角の機体は基準になる役割も担っているとのことで、角に配置された機体についてはシビアに調整していきます。

機体の配置も最終調整。四つ角の機体は特にシビアに調整していく

最終調整も15分程で終了し、あとはドローンショーを実演するのみとなりました。飛び立つ前とはいえ、1,000機のドローンが光を放ちながらスタンバイする姿は壮観。これから、世界初の1,000機規模のプロポーズドローンショーが開始されます。

1,000機並んで離陸を待つドローン

19:45 1,000機のドローンがテイクオフ!プロポーズは…

ついにプロポーズドローンショーがスタート。まずはその様子をご覧ください。

1,000機のドローンの離陸オペレーションは意外にも2名のオペレータースタッフで設定された離陸を見守るのみ。設定した時刻に、設定されたとおりにフライトするので、万が一、何かエラーを起こした際に設定をストップできるオペレーターがいればよいとのこと。離陸時には筆者は離陸地点にいたのですが、さまざまな色に光り輝く1,000機のドローンが次々と離陸していくシーンは近未来映画のワンシーンのようでした。

そして、ついにそのときがやってきました。夜空に広がる1,000機のドローンショーを仲良くふたりで見上げていると、真珠のアニメーションがいつのまにかエンゲージリングに…。さらに、薔薇のアニメーションからは「Will you marry me?」のメッセージ。

状況がわからず隣の佐々木氏に目を向けるAyakaさん。すると隣で一緒にドローンショーを見ていたはずの佐々木氏の手には薔薇の花束が…。その後の展開は下記の写真と映像を見ていただければそれでよいかと思いますのでこのへんで。

人生の節目であるプロポーズを1,000機のドローンショーで演出する。数年前までは日本でドローンショーを展開するなんて無理…と思っていた方も多かったのではないでしょうか。筆者も、無理とは言わないまでも、相当なハードルがあるので国際イベントくらいでしか(しかも過疎地域や海上)ドローンショーは実施できないだろうと思っていました。

レッドクリフは、大手旅行代理店と提携し、リゾートホテルや交通手配なども含めた富裕層向けドローンショーパッケージの販売準備を進めているとのこと。ドローンショーの演出が、個人でもオーダーできる日はすぐ近くまで来ています。

▶︎レッドクリフ

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