“平均年齢21歳”密売グループが逮捕…売り手・買い手も 「若年化」 “違法薬物”汚染の深刻度

情報伝達手段の進歩により、若年層への大麻汚染も深刻な状態(tkyszk / PIXTA)

11月14日。大阪府警は共謀の上、営利目的で今年3月中旬から6月下旬にかけ、大阪市内の集合住宅の一室等において大麻等を所持したとして無職・今村太一(24)被告ら計13人を大麻取締法違反(営利目的共同所持)で逮捕したと発表した。

警察が今村らから押収した規制薬物は乾燥大麻7950グラム(3075万円)、覚せい剤736グラム(4536万円)、コカイン102グラム(246万円)と多岐にわたっており、末端密売価格で約8758万円相当の押収額と大掛かりなものだった……。

10代、20代の若者を相手に取引を行っていた

大阪府警担当記者が今村らの密売グループについて説明する。

「今村らが逮捕に至ったのは、今年1月ごろにあった警察への情報提供です。情報を得た警察が内偵捜査をしていたところ、犯行グループの1人であるA(24)が職務質問を受け、車内に保管していた液体大麻の存在が発覚。グループの他の2人も職務質問されましたが、車で逃走し事故を起こして重傷で入院。その際、警察官も当てられて負傷しました。桐岡らへの事情聴取からAが今村の配下で、今村の指示で車の中の液体大麻を運んでいたことがわかりました」

Aらへの事情聴取以降、警察は今年6月13日には大麻3袋12グラムを所持したとして、浪速区の集合住宅に居住中だった18歳の男と19歳の女を逮捕。同16日には天王寺区内の民泊施設にいた19歳の男を逮捕。同22日には天王寺区内の別の民泊施設から乾燥大麻7858グラム、覚せい剤736グラム、コカイン約100グラムを押収し、民泊にいた密売グループの4人を同容疑で現行犯逮捕した……。

「それ以降も今村らの密売グループは芋づる式に逮捕されていきました。主犯の今村は今年8月から10月にかけ大麻取締法違反共同所持や覚せい剤取締法違反容疑等で3回逮捕、起訴されています。グループの構成は成人が8人、未成年が4人で平均年齢は21歳。13人の関係は奈良県出身の今村の地元不良仲間の先輩、後輩でスマホやSNS、有線を使ってやり取りしており、大阪府下や奈良県下で10代、20代の若者を相手に取引を行っていました」(同前)

若年層への大麻汚染は深刻な状態に…

平均年齢21歳の『若年層密売グループ』――。

近年ではSNSなどの情報伝達手段の進歩により、未成年をはじめとした若年層への大麻汚染が深刻な状態となっている。厚生労働省の薬物事犯検挙人員の推移によれば、大麻事犯の総検挙人員は令和3年に過去最多を更新。20歳未満に限ると平成25年の61人から令和4年の917人と約15倍に増加していることが見て取れる。

『大麻事犯における20歳未満の検挙人員』(厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000956682.pdf)

「今村は薬物の在庫管理をし、在庫が合わないと罰金を取るなどして密売グループの引き締めを行っていたようです。大麻の使用者が未成年の場合は多々ありますが、これほど大掛かりな密売グループの平均年齢が21歳と若いことは極めてまれです。警察はグループの背後に上位の関係者がいると見て捜査を続けています」(前出の府警担当者)

社会問題化する若者たちの大麻汚染――。背後関係を含めたグループの実態解明が臨まれる。

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