県道沿いで不法投棄相次ぐ 高校生と住民が清掃「ごみ捨てないで」、和歌山・田辺市

道路沿いのごみを拾い集める地元の人たち(和歌山県田辺市秋津川で)

 和歌山県田辺市の市街地と龍神村を結ぶ県道田辺龍神線の虎ケ峰付近でごみの不法投棄が相次ぎ、地元住民や高校生が清掃活動を続けている。道路沿いに捨てられたごみはペットボトルや空き缶、家電、粗大ごみなど。住民らは「みんなで地域をきれいにするという意識を持って、ごみ投棄はやめてほしい」と訴えている。

 8日に清掃があり、市環境美化連絡協議会の田辺支部と龍神支部の共催で、地域住民や南部高校龍神分校の全校生徒ら約60人が参加した。奥秋津川大橋付近に集合した後、二手に分かれて清掃に取りかかった。

 道路脇の側溝や斜面にはペットボトルやビールの空き缶など投げ捨てられたようなごみが目立ったほか、テレビや冷蔵庫、タイヤなどもあり、参加者は道沿いを歩きながら協力して拾った。市環境課によると計約400キロのごみが回収された。

 高校生からは「ごみ拾いの活動は気持ちが良い。ごみをなくすためには、みんなで協力することが大事」といった声もあった。

 秋津川町内会の北川佳子会長(63)は「捨てられるごみが多くて困っている。あまりにも目立つので、最近も町内会で清掃をして軽トラック2台分くらい集めたところ。ごみがごみを呼ぶ面もあるので、見回りや清掃を徹底したい」と話した。

 市環境美化連絡協議会の野村悠一郎会長(79)は「ポイ捨てからやめてもらいたいし、こうした活動を通じて、地域をきれいにするという意識を皆さんに持っていただきたい」と語った。

 田辺市環境課によると、昨年度中に把握した不法投棄件数は49件で、回収したごみの量は4120キロ。人目につきにくい山や谷などに捨てられたり、空き地などで冷蔵庫など粗大ごみが一つあると、そこに続けてごみが捨てられたりするケースもあるため、啓発と併せてパトロールに取り組んでいるという。

 県は「和歌山県ごみの散乱防止に関する条例」を制定している。環境監視員がパトロールし、みだりにごみを捨てる行為を見つけた場合は現場で回収命令をし、従わなかった場合は5万円以下の過料を徴収できる。

 県廃棄物指導室によると、本年度、回収命令は7日までに145件あった。ほとんどは街中でのたばこや弁当殻、可燃物などのポイ捨てだという。

 また県内には不法投棄の監視カメラも約170台設置しており、捨てる人を特定したケースは7日までに4件あり、警察に通報している。

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