基礎年金、国庫負担が3兆円 65歳納付で政府試算

マクロ経済スライドのイメージ

 厚生労働省は21日、国民年金(基礎年金)の給付水準を維持するため、保険料の納付期間を65歳になるまで延長するなどの制度改革を実施した場合、給付財源の半分を賄う国庫(税)負担が2060年度に追加で3兆3千億円必要になるとの試算を明らかにした。25年通常国会への関連法案提出を検討する。財務省は国の借金を増やさずに済む安定財源がなければ追加支出を認めない立場で、財源確保が課題となる。

 社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会で試算を示した。少子高齢化に応じ、物価や賃金の上昇分より年金額の伸びを抑える「マクロ経済スライド」という仕組みがあるため、基礎年金の給付水準は将来、3割程度目減りする見通し。厚労省は改革を実施して目減りの緩和を図る。

 試算の前提となる改革は二つ。一つ目は、保険料の納付期間を現行の「20歳以上60歳未満」の40年間から、65歳になるまでの45年間に延長する。

 二つ目は、マクロ経済スライドによる抑制を前倒しする措置。給付水準の目減りは緩和されるが、国庫負担は追加で2兆円必要となる。

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