メルセデスAMGを離脱するマルチェッロがマカオで“最後の贈り物”「打ち負かされないことを願っている」

 ラファエル・マルチェッロは、マカオでのFIA GTワールドカップでの勝利が、メルセデスAMGとの活動から身を引くにあたっての「最後の贈り物」であると語った。

 このスイス国籍のドライバーは、マカオのストリートコースでの週末を席巻し、金曜日にポールポジションを獲得した後、土曜日の予選レースを制覇。11月19日日曜のギア・サーキットでの16周のフィーチャーレースでも、圧倒的な走りを見せた。

 これはマルチェッロのメルセデスAMGにおける最後のレース出走だった。彼は今後、BMWのLMDhプログラムに加わり、WEC世界耐久選手権のハイパーカークラスに参戦するものと広く信じられている。

 マルチェッロは、同じくメルセデスAMGファクトリードライバーのマーロ・エンゲルの序盤の強烈な挑戦をかわさなければならなかったが、残り7周時点での、このレース唯一のリスタートでエンゲルはシフトチェンジの問題に見舞われてしまった。

「素晴らしいことだ」とマルチェッロ。

「カギとなるのは良いスタートを切ることだと分かっていたが、追い越しがやっかいとなるので、セーフティカーからのリスタートについて考えていた」

「良いスタートが切れた。マーロは最初のうちはかなり速かった。しかし、セーフティカーの後、彼は問題を抱えた。おかげで数秒、時間を手にすることができた」

「その後は(レースを)コントロールするだけの問題だった。素晴らしいレースで、AMG人生を良い形で終えることができたよ」

 グリーンに戻ったときの大きなギャップについて尋ねられたとき、マルチェッロは最初はリスタートで追い抜かれることを心配したが、その後エンゲルに問題が発生し、彼が背後の車両たちを押さえていたことに気づいたと明かした。

 マルチェッロはアウディスポーツ・アジア・チーム・アブソリュートのエドアルド・モルターラに2.5秒のギャップをつけ、トップでチェッカーフラッグを受けた。

「マーロは常に多かれ少なかれ1秒前後の差だったので、コントロールできていた」とマルチェロは言う。

「でも、(リスタートの際に後方の)大きなギャップを見たとき、心の中では、もしかしたら僕はミスをしてしまったんじゃないか、加速が早すぎたんじゃないか、と思ったんだ」

「もしかしたらグリーンに戻るのが早すぎたかもと思ったのだが、そのときチームは『彼にはトラブルがある』と伝えてきたんだ」

マカオで行われたFIA GTワールドカップを制したラファエル・マルチェッロの48号車メルセデスAMG GT3

 日曜のレースは、数え切れないほどのチャンピオンシップと重要なレースでの勝利をもたらしたマルチェッロのメルセデスAMGでの7年間の走りに、終止符を打つものとなった。

「僕らはとても多くのものを勝ち取った」と彼は言った。

「実のところ、僕らにはあまり低迷はなかった。 振り返ってみると、多かれ少なかれ、バサーストとニュルブルクリンク以外では、すべて優勝を飾った」

「振り返ってみると結構多いよね。確かに、マカオも勝ったし、スパも、ADAC(GTマスターズ)でも勝った。素晴らしい瞬間がたくさんあった」

「寂しくなるよ。 (将来)この成功を繰り返すのは間違いなく簡単なことではないけど、僕は最善を尽くす」

「これが僕の、AMGへの最後の贈り物だった。いまは、(この先)AMGに打ち負かされないことを願っている」

2023年のFIA GTワールドカップを制したラファエル・マルチェッロ

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