NHK総合のドラマ10「大奥 Season2」（火曜午後10：00）の“幕末編”で、徳川家定を演じた愛希れいかが、家定の人物像についてや、阿部正弘（瀧内公美）や天璋院／胤篤（福士蒼汰）との関係、共演者の印象などを語った。
「大奥」の原作は、3代将軍・徳川家光の時代から幕末・大政奉還に至るまで、男女が逆転した江戸パラレルワールドを描いてセンセーションを巻き起こしたよしながふみ氏による漫画。ジェンダー、権力、病など、現代社会が直面する課題を大胆な世界観で鮮やかに紡がれたこの傑作漫画を基に、森下佳子氏が脚本を担当。NHKでは、3代・家光から8代・吉宗までの物語をドラマ化し、「ドラマ10」枠で今年の1月期に放送された。
Season2では、吉宗の遺志を継ぎ、若き医師たちが赤面疱瘡（あかづらほうそう）撲滅に向けて立ち上がるその後の物語から、女将軍をはじめとした幕府の人々が、“江戸城無血開城”のために奔走した幕末・大政奉還の物語を初めて映像化。“医療編”に続く“幕末編”では、大奥総取締・瀧山を古川雄大、13代将軍・徳川家定の正室・天璋院／胤篤を福士、家定を愛希、阿部正弘を瀧内、男装して14代将軍・家茂に嫁いでくる帝の妹宮・和宮を岸井ゆきの、家茂を志田彩良が演じている。
愛希が扮（ふん）した徳川幕府13代将軍・家定は、幼少期から実父の虐待に苦しみ、不遇な人生を送ってきたにもかかわらず、美しく聡明で現実を受け止める心（しん）の強さを持つ。時代の移り変わりの中で、瀧山や正弘と信頼を育み、己の人生を追求していく人物だ。
本日11月21日放送・第18話では、通商条約の調印を進めていた老中首座・堀田正睦（高木渉）の失態と正弘の死が続き、心を痛めた家定は床に伏せてしまう。それを聞き、心配する胤篤のもとに、瀧山から思いも寄らない知らせが届く。一方、井伊直弼（津田健次郎）は開国派と攘夷（じょうい）派の思惑がひしめき合う中、大老に就任。反発を強める薩摩などを尻目に、井伊は立場を強めていく。
演じた家定について、「とても聡明で強い。強いといっても、監督の言葉をお借りすると、“受け入れる強さ”を持っている女性だなと思いました。そして、受けるべき愛を受けられずに育っていながらも、人を愛することができるし、優しさも持ち合わせている。愛にあふれている人だと思って演じました」と語る愛希。
「初めて心を開くことができた人」だという家定にとっての正弘の存在に関しては、「正弘は“家定のために”という思いを持っていつも動いてくれますが、家定も“正弘のために”という思いを持っていて、お互いが尊敬し合っているし信頼しているし、愛がある。彼女がいなかったら、家定はどうなっていたか想像できませんが、彼女がいたから生きられたと思いますし、かけがえのない存在ですね。言葉では言い表せないような、大切な人だと思います。家定の人生において、楽しいより苦しい時間の方が長かったと思うので、その中で、正弘と一緒にお菓子作りをしたり、2人で過ごす時間というのは家定にとってとても心地よく、一息つける時間だったんじゃないかなと思います」と大切な存在だったと想像し、「私自身もすごく楽しみながら瀧内さんと撮影させてもらって、徐々に絆が深まって、冗談を言い合えるような仲になれたのがすごくいとおしいなと思っていたので。正弘とのシーンはどれも印象に残っていますし、好きです」と愛着を示す。
正弘を演じた瀧内との共演は「いつも気さくに話しかけてくださって、現場の雰囲気を和ませてくださって、すごく居心地がよかったです」と笑顔を見せる。「短期間で、こういう深い仲の役をやらなければいけないということで、私もどうしようかなと思っていたんですけど、瀧内さんが自然に距離を縮めてくださって、そして受け止めてくださった感じですね。すごく明るい方です。私もこういう役なので、なかなか現場ではつらつともできないなと思っていたんですけど、正弘とのシーンの時は自然と笑顔が多かった気がします」と振り返った。
また、胤篤とも徐々に心を通わせていく家定。どのタイミングでお互いひかれ合うようになったと思うかを問うと、「私もどのタイミングなのかなと台本を読みながら思っていたんですけど、最初の時点からだったのかなと。もちろん警戒はしているけれども、初夜の時点から、話を聞いているとすごく面白いなとか…自分でも気付かないうちにひかれていたのかなと思うんですよね。家定自身が自分の感情に気付いていなかったというよりは、そもそも人を好きになるという感情を知らないし、男性に対しての強いトラウマがあるから、常に心を閉じて感じないようにしていたのかなと。でもずっと気にはなっているので、きっと本質的なところでは、出会ってすぐにひかれていたのかなと思います。家定がはっきりと自覚するというか…フワッと心に花が咲くような、舞い上がる気持ちになったタイミングとしては、流水紋の裃姿を見た時かなと思います。胤篤は、家定にとって初めて愛することができた男性。賢い人だけど、おちゃめさもあって。家定にとって、彼の存在は癒やしでもあったと思います。そして、ただの男女というよりは、尊敬し合える仲だし、ずっと共に歩んでいきたいと思える、最初から恋人というより夫婦のような関係性が強かったと思います」と解釈を述べた。
胤篤を演じた福士に関しては、「お会いするまでは、勝手に自分の中で想像を膨らませていたんですけど、いい意味で裏切られたというか。すごく明るくて気さくな方でした。そしてすごくお芝居に対して、深く考えられていて。お芝居が好きなんだなというのが強く伝わってきました」と、その印象を語った。
そして、撮影を振り返り、「初めてセットに足を踏み入れた時、鳥肌が立ったのを今でも鮮明に覚えています。自然と作品の世界に入っていける感覚になったのが印象的でした。思い出深いシーンもたくさんありますが、やはり乗馬のシーンは時間かけて稽古したということもあり、思い出に残っていますね。乗馬は、背中に乗るのは申し訳ないけれど、でも、不思議なぐらい爽快でした。また機会があればやってみたいです」と目を輝かせていた。
