「映像の世紀バタフライエフェクト」テーマ音楽の「パリは燃えているか」をタイトルに“パリ激動の百年”を描く

NHK総合で11月27日放送の「映像の世紀バタフライエフェクト」(午後10:00)では、テーマ音楽の曲名「パリは燃えているか」を番組タイトルに、シャネル、ピカソ、ドゴールと、パリを唯一無二の街にした3人の物語を中心に、幾多の試練を乗り越えてきた華の都・パリの激動の百年を描く。

「映像の世紀バタフライエフェクト」は、世界中に保存されているアーカイブス映像を駆使して、現代史をドラマチックに描く新しい歴史教養番組。“バタフライエフェクト”という言葉は、本来はカオス理論の用語だが、“チョウの羽ばたきが、巡り巡って竜巻を起こす”という意味でも使われる。そしてそれは、“一人一人のささやかな営みが、時空を越えて大きな出来事を引き起こす”という意味にも捉えられる。番組では、世界の歴史を“バタフライエフェクト”という観点から見直していく。

「パリは燃えているか」という言葉は、第2次世界大戦末期、ナチスドイツ占領下にあったパリで市民が一斉蜂起したことを知ったヒトラーが、破壊を命じた際に叫んだ言葉だと言われている。しかし、パリが燃えることはなかった。作曲家でピアニストの加古隆氏は、このエピソードにインスパイアされ、人間の持つ愚かさと素晴らしさの二面性を表現しようと、番組が始まった1995年にテーマ音楽「パリは燃えているか」を制作した。

「映像の世紀バタフライエフェクト『パリは燃えているか』」は、加古氏による「パリは燃えているか」演奏シーンからスタート。「映像の世紀」シリーズで、撮り下ろし映像を交えて伝えるのは非常に珍しい演出だ。NHK YouTubeチャンネルでは、放送未公開の「パリ燃え」ピアノ演奏フルバージョンも公開される。

加古氏は「『パリは燃えているか』という曲名は、第2次世界大戦時のナチス・ドイツが、パリを破壊しようとした作戦に由来しています。『パリ』というと、私が留学し若い頃に何年も住んだ体験を通じて、人間が生み出した素晴らしい文化や歴史を象徴的に感じますし、『燃えているか』という言葉は、同じ人間の繰り返す戦争や破壊のイメージです。しかし、パリの運命は消されることなく現在、私たちの前に残されているのです」と解説。

加えて、「番組タイトルを聞いた時には、私の曲名でもあり本当にうれしい思いがしました。1970年代から80年代にかけて青春時代をパリで過ごしたことは、私の人生の宝物と言っても過言ではありません。パリを巡ってどんな物語が展開するのか、とても楽しみです」とメッセージを寄せている。

番組を手掛ける寺園慎一プロデューサーは「『バタフライエフェクト』でパリをやるからには、加古さんの『パリは燃えているか』を番組タイトルにしようというのは、迷いなく決めました。『たゆたえども沈まず』を市章に掲げ、多くの試練を乗り越えてきたパリの歴史を語るには、人間の罪と勇気を感じさせるこの曲のタイトルこそふさわしいと考えました。私は『新映像の世紀』から10年近く携わり、編集室やスタジオでこの曲をおそらく1000回以上聴いています。映像の中に、この曲が静かにスッと入ってくる瞬間は、何度聴いても鳥肌が立ちます。『バタフライエフェクト』は、これからも『パリ燃え』とともに、歩み続けます。放送をお楽しみに!」と、楽曲への愛を語っている。

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