【ミャンマー】英領鉱業が制裁破り不正取引、人権団体告発[資源]

人権団体「ジャスティス・フォー・ミャンマー(JFM)」とオーストラリア国際司法センター(ACIJ)などは20日、英国・オーストラリア両政府のミャンマー国軍系企業に対する制裁に違反して不正な取引を行っていたとして、英領バージン諸島に登記していた鉱山会社を告発した。

JFMなどが告発したのは、コーナーストーン・リソーシズ(ミャンマー)。英財務省所管の金融制裁執行局(OFSI)と英領バージン諸島総督に提出した調査報告書によると、同社は政変後の2021年10月から22年8月にかけて、国軍系複合企業ミャンマー・エコノミック・コーポレーション(MEC)に亜鉛を販売し、MECから石炭を購入した。取引の総額は19億7,124万チャット(約1億5,000万円)に上る。JFMらはこの取引が21年4月1日付で英政府がMECに科した制裁に違反していると主張した。

コーナーストーンは、旧軍政時代の1999年にミャンマー事業を開始。北東部シャン州での亜鉛採掘と加工を主な事業としており、ミャンマー資源・環境保全省傘下の第1鉱山公社との間で生産分与契約を結んでいる。22年11月に会社登記簿から抹消されるまで、英領バージン諸島の親会社が所有していた。その後の取締役や株主構成は不明だが、オーストラリアの住所を使って事業を継続していた。

JFMの広報担当、ヤダナーマウン氏は、「コーナーストーンは英国の制裁を破って、戦争犯罪者である国軍とビジネスを行い、オーストラリア政府はこれを止めることができなかった」と非難。これ以上取引ができないよう、英豪両政府に対し、国軍が所有する鉱山事業会社にも制裁を科すよう求めた。

米国は1月、ミャンマー国軍所有の第1鉱山公社と第2鉱山公社を制裁対象に指定している。

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