出産費「50万円超」9割 横浜市が調査、一時金で賄えず個人負担

出産費用の調査結果を報道陣に説明する山中市長=横浜市役所

 横浜市内の医療機関などでの直近の出産件数(第1子で自然分娩(ぶんべん)のみ)のうち、約9割で最低限必要な費用が50万円を上回っている実態が市の独自調査で明らかになった。公的医療保険から支給される出産育児一時金だけでは賄えず、多くの妊産婦が負担を余儀なくされている構図が鮮明となり、「出産費用ゼロ」を公約とする山中竹春市長は21日、報道陣に「必要な支援の在り方を検討する」と述べた。

 市は初産婦の入院料や分娩料、食事料といった11項目を出産に欠かせない「基礎的費用」と定義。市内で分娩に対応している病院と診療所、助産所の全53施設を対象に、4月1日時点の施設ごとの基礎的費用と、主に昨年1年間の出産件数をアンケートや対面で確認した。出産費用の内訳まで把握する調査は全国的にも珍しいという。

 集計可能な51施設の基礎的費用は平均が54万8224円、中央値は55万5千円だった。実際はさらに無痛・和痛分娩料や個室料、祝い膳などの費用が生じる場合もあり、国が4月に42万円から50万円に引き上げた出産育児一時金だけでは不足する可能性が高い現状が浮き彫りとなった。

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