適度なバックスピンとスピードの関係性を作るトップ選手が低弾道キックを蹴った時の動きとは?【東大卒キックコーチが教える本当に正しいキックの蹴り方/田所剛之】

実践的な意識付け

蹴り足をボールよりも前の地面に落としに行くイメージ

トップ選手の低弾道のキックを観察してみるとインパクトの後、蹴り足が地面を擦るように動くことが多いです。蹴り足の軌道が股関節と膝関節を支点とする二重振り子であるという仮定のもとで考えると、このような蹴り足の軌道が長い時間、斜め下向きから水平方向に保たれるには、振り子の支点自体が運動していることが必要になります。もしも、二つの支点がどちらも動いていなかった場合には蹴り足の軌道は横から見た時に斜め上に振り上げられるようになるはずです。この軌道を生んでいるのが前頁で述べた骨盤を引き上げたところからストンと落とす動きであると考えられます。

とはいえこの骨盤を落とす動きはあまり意識して行える動作ではなく、実践的には蹴り足を落としにいく位置を定めてあげるのが効果的です。例えば、ボールの位置に蹴り足を落とすようにした場合(第8章参照)、蹴り足をかなり斜め下方向に鋭く落とすことになるので、バックスピンが多すぎるボールになってしまいます。

一方で、蹴り足を落とす位置をボールよりも前に設定した場合、蹴り足の大まかな軌道は適度に斜め下に向かうことになりちょうどよくバックスピンとスピードの関係性を作ることができます。このようにして蹴り足を落とす位置を設定してあげると自然と骨盤を上げて落とすような動きが自然と出て蹴り足の軌道も適切なものへと誘導していくことができます。

蹴り足をボールよりも前に落とした時の蹴り足の軌道

自然な振りを使いつつ直線的に足を落としに行くとインパクト時にはちょうど良く斜め下に切るような力をかけられる。

【出典】『東大卒キックコーチが教える 本当に正しいキックの蹴り方』 著:田所 剛之

『東大卒キックコーチが教える 本当に正しいキックの蹴り方』はこんな人におすすめ!

・効率的なキックを蹴りたい! ・サッカーで我が子に活躍してもらいたい! ・本当に正しいキックの蹴り方を知りたい
と感じている方には大変おすすめな本です。

著者・田所剛之氏は東京大学でスポーツバイオメカニクスを専攻し、卒業研究ではサッカーのインサイドキックを力学的に研究しました。在学中は、東京大学サッカー部のフィジカルコーチも務めました。また、学生ながらパーソナルトレーナーとしても活動しており数多くのJリーガーを指導しています。本書では感覚的なことは一切排除をして、物理学的に正しいとされるキックの理論を解説します。いままでは慣習的に正しいとされていたけれども、物理学的には間違っていたキックの常識にメスを入れ、本当に強いシュートの蹴り方、本当にゴールに繋がるフリーキックの蹴り方、本当に味方が求めるパスの蹴り方を身に付けられます。

オールカラーでイラストと写真をふんだんに使い、サッカープレイヤー、サッカー指導者だけでなくサッカー少年・少女の保護者にも理解しやすい作り

強いシュートを打つ、良く曲がるフリーキックを蹴る、ピンポイントパスを出すなど理想的なキックを蹴るために必要なことは何か?それは正確な物理学の知識と、それを再現できるようになるための正しい練習法なのです。キックとは「蹴り足とボールの瞬間的な衝突がすべてを決める」。このことを正しく知っていれば無駄で間違った練習をしなくて済みます。1つ例をあげれば衝突後のフォロースルーなんてどんな形でもよいのです。

気になる中身を少しだけご紹介!「飛距離を伸ばす!」斜め上向きに力を加える方法

身体よりも前でボールにインパクトする

まず、少しのバックスピンをかけて速いボールを打ち出すために斜め上向きの地方を加える方法を考えます。キック動作中の蹴り足の動きは大雑把に言うと蹴り足側の股関節を軸とした振り子運動です。振り子運動は軸の真下で最下点を迎え、軸より後ろでは振り下ろす向きの運動を、軸より前では振り上げる向きの運動をすることになります。

この振り子運動の途中でボールにインパクトして斜め上方向に力を加えようと思うと振り子の軸よりも前にインパクトポイントを持ってくる必要があるので、蹴り足側の股関節よりも前、イメージ的には身体よりも前でボールにインパクトすることが必要になります。厳密に言うと、実際にはキック動作中の蹴り足は、股関節と膝に二つの軸を持つ二重振り子のようになります。ロングキックのインパクト付近では股関節の動きに対して膝関節の動きが十分に速くなるので、膝関節の振り子を考えれば良く、斜め上向きの力を加えるには膝関節をボールより後ろに持ってくることが必要になります。この場合でも身体よりも前にインパクトポイントがくることになるので、身体の前でインパクトするイメージを持っておけば十分です。

★速さ、回転、打ち出し角度がボールの軌道を決める ★軸足のブレーキはインパクトの質の向上にも貢献する ★股関節の動きで蹴り足の運動方向を調整する ★飛距離を最大化するには?
などなど気になるタイトルが目白押し!

この本をしっかりと頭に入れて正しいキックの練習をすれば思い通りのキックが蹴られる選手になれること間違いなし!

【書誌情報】
『東大卒キックコーチが教える 本当に正しいキックの蹴り方』
著:田所 剛之

著者・田所剛之氏は東京大学でスポーツバイオメカニクスを専攻し、卒業研究ではサッカーのインサイドキックを力学的に研究しました。在学中は、東京大学サッカー部のフィジカルコーチも務めました。また、学生ながらパーソナルトレーナーとしても活動しており数多くのJリーガーを指導しています。本書では感覚的なことは一切排除をして、物理学的に正しいとされるキックの理論を記す。いままでは慣習的に正しいとされていたけれども、物理学的には間違っていたキックの常識にメスを入れます。本当に強いシュートの蹴り方、本当にゴールに繋がるフリーキックの蹴り方、本当に味方が求めるパスの蹴り方を身に付けられます。オールカラーでイラストと写真をふんだんに使い、サッカープレイヤー、サッカー指導者だけでなくサッカー少年・少女の保護者の方などにも理解しやすい作りとなっています。

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