夏の高校野球千葉大会。
王者・専修大松戸に敗れたものの、見る者の心を揺さぶるエースがいた。
彼の名は、幕張総合高校3年・早坂響。
キャッチャーからピッチャーに転向し、わずか1年で最速151キロを投げるまで成長。
彼の潜在能力を引き出したものは、新たな指導の形。
野球は高校までと決め、仲間と甲子園を目指していた普通の球児に芽生えた“プロへの思い”とは…。
そして迎えたプロ野球・ドラフト会議。
この日を迎えるまでの投手・早坂の飛躍に迫る。
10月上旬、学校の授業が終わると 早坂投手はグラウンドへ。
早坂選手
「明日クラス対抗リレーに出ます。アンカーです。足は速い方です」
残り少ない高校生活も楽しむ早坂投手。
いよいよ迎えるドラフト会議を前にしても比較的落ち着いている様子だ。
引退後の練習相手となっているのは、3年生の石崎拓未。
石崎くん
「面白いタイプなので、早坂は結構。野球のときは結構クールな感じだと思うんですけど、意外とプライベートでは陽気な感じです」
そんな一面もある早坂投手。マウンドに上がると…150キロに迫る剛速球!
実は早坂投手、2022年まではキャッチャー。
なぜピッチャーに転向したのか?
松戸市出身の早坂投手。
野球を始めたのは小学2年生だった。
早坂選手
「いとこが野球やってて、自分も野球やりたいなと思いました」
そんな彼が幕張総合に進学を決めたのは、勉強と野球の両立ができると考えたから。
野球は高校で燃え尽きようと決めていた。
しかし2022年5月、転機が訪れる。
練習試合でキャッチャーとして出場した早坂。
試合後、相手校・若松高校の監督から柳田大輔監督に1本の電話が…。
柳田監督
「『柳田さんあれなんですか?何者ですか、早坂って?』という電話が第一声でかかってきて…『Bチームにいる選手じゃないと思ったので、電話かけました』っていう連絡でしたね。肩は良いと思っていたけど、やっぱり良いボール投げるんだなっていう確信ていうんですかね」
2塁への送球という「強肩」から、「投手・早坂」という柳田監督のひらめき。
続く出会いも「投手・早坂」を大きく飛躍させた。
ドラフトの5日前、早坂投手の姿は、都内のトレーニング施設に。
スポーツトレーナーの北川雄介さん。
学生時代から交流のある柳田監督から早坂投手について相談を受けた。
初めて指導した2022年7月、潜在能力の高さを感じたと振り返る。
北川トレーナー
「腕は肩から使っちゃうと、テコが短いじゃないですか。それをこう、初めから胸から使おうという話をしたら、胸から使えたので。150キロぐらい投げられるようになってもおかしくないなって、ポテンシャルは初めから感じました」
体の使い方というメカニクスの良さに加え、北川さんが驚いたのが理解力と実行力の高さ。
北川トレーナー
「考える材料をこちらが提供したり、トレーニングこういうことした方が良いよということに対して、実行力だったり、自分の解釈(力)が(他に)いないなっていうレベルで高かったので」
自分に必要だと考えたら、週6回そのトレーニングを平然とこなす。
その結果、球速は大幅にアップ。最速151キロ・プロ注目右腕に成長。
早坂選手
「春の大会で、実際自分でも投げていて、手ごたえみたいなのを感じて、もしかしたら(プロに行ける)可能性があるかもしれないなという風に思いました。何か一つのことに集中して、こんなに取り組んだのは今までの人生でなかったと思うので、ここまで来られたのはこの先も一つの自信になるのかなと思います」
迎えた10月26日、運命のドラフト会議…。
その瞬間は、ほどなくして訪れた。
見事地元・千葉ロッテから4位指名!
早坂選手
「今はほっとしていて、本当にそのずっと不安だったので、指名された後も、夢のような気持ちでした」
柳田監督
「彼が投げているボールで、『わあ!すごい』って子どもたちが言ってくれて、野球やってみようかなっていう子どもたちを増やす。そんな夢のあるピッチャーになってもらいたい」
控え捕手がプロ野球選手に!
この1年の伸び率は日本一。早坂響のこれからに目が離せない!
早坂選手
「幕張総合高校の早坂響です。見ている人をワクワクさせるようなピッチングをしたいなと思っています。応援よろしくお願いします」