Chromeで「広告ブロック」存続の危機、開発者の猛反発に見舞われ“絶滅”は回避 今後は使えなくなる?

Googleは16日、同社が開発する世界シェアトップのWebブラウザ「Google Chrome」の新たな拡張機能規格「Manifest V3」の導入計画を再開したことを発表した。この発表を受け、SNSでは「広告ブロッカー」アプリケーションの今後を危ぶむ声が相次いでいる。

Manifest V3とは「拡張機能」と呼ばれるChrome上で動作するアプリケーションの動作や制限を策定する仕様を指す。2014年にリリースされた「Manifest V2」の後継として、セキュリティとプライバシーを向上させることを目的とした大きな変更が加えられていた。

このManifest V3は「拡張機能によるユーザーデータの収集や追跡が制限されプライバシー保護につながる」という名目のもとでGoogleが2020年に発表したものの、広告やプロモーションコンテンツをブロックするいわゆる「広告ブロッカー」に対する事実上の引き締めであるとして開発者の間で話題に。その他複数の問題も重なり、当初予定されていた「2023年内の移行完了」という計画が一時凍結する事態にまで発展していた。

そしてこの度、1年の見直し期間を経て本計画の進行を再開することが明らかとなった。Chrome公式の開発者ブログによると、2024年6月にリリース予定の「Chrome 127」よりManifest V2の段階的な廃止を行うとしており、ベータ版Chromeを初期段階として2025年6月までには正式版Chromeでの「Manifest V3完全移行」を完了する計画を新たに打ち立てた。

さらに、当初予定していた仕様変更の一部見直しを発表。スクリプトの読み込みやプログラムの動作の監視に必要なコンテンツフィルタリングに関する規制が緩和されることが明らかとなり、広告ブロッカーが“絶滅”する可能性は極めて低いもののとなった。この一連の計画再開を巡り、Adguard社をはじめとした開発コミュニティからは「良い決断ではないが状況は改善した」との一定の支持を得つつ、楽観視する声が多く見受けられた。

しかしながら、Chrome上での広告ブロックアプリケーションが将来的に苦境に立たされるという点については引き続き変わらないとの声も寄せられており、Manifest V2を採用している現状のほとんどの拡張機能は今後使用できなくなる。加えて、開発元のGoogleはYouTubeにおいて広告ブロッカーの利用を厳しく取り締まる姿勢を見せており、引き続き利用者への影響の波及は免れないとされている。

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