【ジャパンC】ジェンティルドンナに重なるリバティアイランドの“勝機”

リバティアイランド/2023年秋華賞(C)Eiichi Yamane

第43回ジャパンC(11月26日/GI、東京芝2400m)は、GI5連勝の現役最強馬・イクイノックスに対して三冠牝馬・リバティアイランドが挑戦状を叩きつける名勝負の予感。ワールドベストレースホースランキングでも11月10日現在いまだ1位の座に君臨するイクイノックスはリバティアイランドにとって高すぎる壁なのか、はたまた追い越し得る背中なのか……。

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■三冠馬対決「オルフェーヴルVSジェンティルドンナ」

過去に牝馬三冠を制してジャパンCへ参戦したのはジェンティルドンナ、アーモンドアイ、デアリングタクトの3頭と記憶に新しい。

今回のシチュエーションにもっとも近しい2012年のジェンティルドンナとオルフェーヴルの対決を思い起こす競馬ファンも少なくないだろう。

史上4頭目の牝馬三冠を達成したジェンティルドンナは秋華賞の後はジャパンCへ。そこで凱旋門賞2着から帰国した前年の三冠馬オルフェーヴルと対決することとなった。当日、オルフェーヴルが単勝2.0倍の1番人気、ジェンティルドンナは4キロの斤量差がありながらも単勝6.6倍の3番人気に甘んじた。

レースは、春の天皇賞勝ち馬ビートブラックがハナを切り、ジェンティルドンナが先行追走。オルフェーヴルを下して凱旋門賞馬に輝いたソレミアも参戦し好位に控え、中団後ろにはオルフェーヴルが構えていた。勝負どころでオルフェーヴルが馬なりでジワリと進出すると、直線で追い出しを開始。これに内から並びかけていったのがジェンティルドンナだ。そこからは2頭の壮絶な叩き合い。3着争いを離して2頭が並んでゴール。

写真判定の結果、ハナ差でジェンティルドンナが優勝した。幾多の名牝が成し得なかった“3歳牝馬のジャパンC制覇”という偉業を、当時、現役最強と謳われたオルフェーヴルを下して成し遂げたのだ。

■2012年に重なる怪物ホースたち

今年で言うと、オルフェーヴルの立場がイクイノックス。同馬は三冠馬ではないものの、その実力は世界も認めるもの。ワールドベストレースホースランキングでは1位の129ポンドで、ここに勝てばジャスタウェイが持つ日本馬最高記録の130ポンドに並ぶかそれ以上を目指せるかもしれない。今年の凱旋門賞はドバイで下したウエストオーバーが2着、宝塚記念で下したスルーセブンシーズが4着に健闘していたことから、「出走していれば勝っていたのでは………」という想いがネットでも溢れた。単純比較ならオルフェーヴルの凱旋門賞2着と肩を並べられることになる。

一方、リバティアイランドはジェンティルドンナ同様、挑戦者の立場。ジェンティルドンナは秋初戦のローズSで馬体を12キロ増やして帰ってきた。成長して迎えた秋華賞では、次走エリザベス女王杯を2着したヴィルシーナを下しており、世代レベルは上々だった。リバティアイランド自身も前走は成長分でプラス10キロ。今年のエリザベス女王杯では3歳馬のブレイディヴェーグが勝利し、秋華賞3着のハーパーも3着に好走。この辺りを考えると、世代レベルも高いことが窺える。

これまでオークスで6馬身差をつけて勝った馬はおらず、ジェンティルドンナの5馬身差が最大着差でリバティアイランドがそれを塗り替えた。イクイノックスは怪物級の強さを誇るが、彼女も化け物だ。2012年の再現は十分に考えられる。

■勝ち切る3歳牝馬のポジショニング

牝馬三冠を制した3歳馬のジャパンCの成績は2勝3着1回と、まず馬券外は考えにくい。三冠レースすべてで後続に1馬身以上の差をつけ、圧倒的な力を示していたアーモンドアイは従来のコースレコードを1秒5も更新する2分20秒6の驚異のレコード勝利となり、場内はざわめきと歓喜で沸いた。

史上初の無敗三冠牝馬となったデアリングタクトはアーモンドアイと、その年の牡馬三冠に輝いたコントレイルと三冠馬3頭が集結した、伝説のジャパンCで3着。相手はもちろん強かったわけだが、ジャパンCを制したジェンティルドンナとアーモンドアイと異なる点がある。

それは中団からの競馬になった点。もともとデアリングタクトは豪脚タイプ。ジャパンCでは勝負をしに中団好位から進んだが、前にいたアーモンドアイを捕まえることはできず、後ろから差してきたコントレイルに決め手で劣ってしまった。

一方、ジェンティルドンナとアーモンドアイはインの3番手あたりにつける積極的な競馬で勝利を果たした。3歳牝馬のアドバンテージは軽い斤量ゆえの先行しやすさと終いの伸びにある。

リバティアイランドと川田ジョッキーが積極策を取ればイクイノックスを負かす可能性は高まるのではないだろうか……。外枠に入ると控える可能性が高くなりそうで内寄りの枠が理想。ともなれば単勝1倍台に推されるであろう同馬相手でも勝機はある。

いざ女傑へ、リバティアイランドのさらなる活躍に期待する。

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(文●Asuka.F/SPREAD編集部)

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