近年、スーパーマーケットでは、魚屋に負けず劣らずの仕入れ力で、鮮度抜群の魚を仕入れ販売するところも珍しくなくなってきました。これに伴って各スーパーマーケットが注力し始めているのが「寿司」です。
ひと昔前のスーパーマーケットの「寿司」と言えば、賞味期限が長い押し寿司、いなり寿司などが大半でしたが、現在ではプロの魚屋・寿司店顔負けの本格にぎりを販売するところも増えてきました。
そこで今回は『サミット』、『西友』、『オオゼキ』、『東急ストア』、『アキダイ』の「寿司」を食べ比べ。各ブランドのクオリティと「寿司」の特徴に迫ります。
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『サミット』の「寿司」はネタ厳選の本格派
まずは『サミット』の「寿司」からいただきましょう。
『サミット』の惣菜のバラエティとクオリティには定評がありますが、寿司はどうでしょうか。
店頭での鮮魚コーナーでも、鮮度抜群の丸物の魚から刺身が適正な価格で販売されており、「寿司」のほうもかなり気になります。
今回は複数ある「寿司」の中から「にぎり寿司[旬鮮]」をチョイスしていただいてみることにしました。
「にぎり寿司[旬鮮]」は、まぐろ、びんちょう、えび、いくら、とろ、あじ、サーモン、ほたて、いか、げその10貫。
どのネタも鮮度が良いことに加え、これだけ入って862円。つまり、1貫あたり約86円ということになります。
『スシロー』などの回転寿司チェーンが、2貫入って150円前後で展開していることを鑑みれば、1貫単価はやや上がりますが、その分ネタが大ぶりで鮮度も良く、なかなかのお値打ちではないかと思いました。
個人的にはあじの鮮度が少々気になったものの、北海道産のいくらやほたてが入っていることを思えば、十分許容できる範囲。さすが『サミット』と言いたくなる構成でした。
『西友』の「寿司」はコスパに特化したお値打ちの一品
続いて『西友』の「寿司」をいただきましょう。
『西友』はコスパに注力した使用で、7貫+巻物4カット+玉子で647円という低価格を実現しています。
もちろんクオリティにも定評がある『西友』です。これで美味しくないはずもなく、食べる前から自ずと期待が膨らみます。
内容は、まぐろ、いか、サーモン、えび、たこ、ほたて、炙りしゃけ、とろ巻、かっぱ巻、玉子。
他ブランドに比べればネタのカットが小ぶりでシャリが大きめですが、この価格なら十分満足です。
そして、特に感動したのがほたてです。ほんのりとした磯の香りと食感から、鮮度の良さを十分感じることができました。
贅沢な「寿司」を求める向きには合わないかもしれませんが、例えばランチなどの「自分だけの食事」としていただくには十分満足できるように思いました。『西友』の良心を強く感じた一品です。
『オオゼキ』の「寿司」は強気の価格に隠れた本格派
続いては『オオゼキ』の「寿司」をいただきましょう。
今回食べ比べした中でも最高値となる10貫にして1382円という値付けです。
1貫あたり138円ということになりますから、少なくとも格安回転寿司チェーンの一番安い皿よりも高い、ということになります。
しかし、近年『オオゼキ』での鮮魚の力の入れようは目を見張るものがあります。
養殖業者と提携し、独自ルートによる養殖まぐろを販売するなども行っており、もちろん「寿司」にもかなりのこだわりがあると思われます。
セットの中身はこうです。まぐろ(中とろ)、たい、まぐろ(赤身)、ぶり、サーモン、あなご、かに、ほたて、えび、いくら。
いずれもプロの寿司店に負けない鮮度であり、カットも大ぶり。そして他のスーパーマーケットに比べシャリの酢加減、握りも素晴らしく申し分のないクオリティでした。
言うまでもなく、その完成度の高さはスーパーマーケット界イチであり、この強気の値付けにも十分納得です。
「どうしても今すぐ美味しい寿司が食べたい」「突然の来客でご馳走が必要だ」というときには、『オオゼキ』に走ってみると良いように思いました。
『東急ストア』の「寿司」はコスパ・クオリティ双方を高めた一品
続いて『東急ストア』の「寿司」をいただきます。
筆者が行く『東急ストア』では、取り立てて鮮魚に力を入れているようには見えないものの、ただし惣菜系のクオリティの高さに信頼を置いています。
このことから「寿司もきっと美味しいのではないか」と思い、チョイスしたわけですが、9貫にして税込970円となかなか強気な価格です。
つまり1貫あたり107円ほど。果たして、この価格を満足させてくれるだけの味を楽しませてくれるのでしょうか。
パックされているネタは、まぐろ、ぶり、いか、サーモン、煮穴子、えび、いくら、とろ、あじ。
いずれも「これは寿司店のお土産か」と思えるほどの大ぶりカットと鮮度の良さで正直ビックリしました。
シャリの風味も繊細で、この値付けにも大満足。むしろ「よくこの価格で、このクオリティを実現できるな」と感動するほどでした。
味わいや鮮度こそ『オオゼキ』の「寿司」に軍杯を譲りながらも、コスパのことを含めて考えれば、間違いなく『東急ストア』が抜きん出ると思いました。
『アキダイ』の「寿司」は巻物で勝負。鮮度抜群の白身巻が美味!
そして、最後に『アキダイ』の「中巻 はまち」をいただきます。
『アキダイ』は東京で展開するスーパーマーケットチェーンで、物価高騰のニュースなどの際によく取材をされている、ハスキーボイスの社長のお店です。
全ての商品のクオリティ・価格が素晴らしいチェーンですが、筆者が行く『アキダイ』には「寿司」は巻物のみ。
これが少々惜しいところでもあるわけですが、しかし、その巻物は「はまち」と他のスーパーマーケットではなかなか見かけないものです。
比較的足が早いはまちを一本巻いたものですが、カットが大ぶりでシャリとのバランスが実に贅沢。もちろん、鮮度も素晴らしく食べ応えも十分でした。
わさびをたっぷり添えた刺身醤油と一緒にいただくことでまさに至福の味わいに。
無理やりにぎりをセットにするのではなく、あえての「1ネタ巻物勝負」というのも、あの一本気な社長の姿勢が反映されているようにも感じました。
「スーパーマーケット寿司」は確かに進化していた!
ここまで『サミット』、『西友』、『オオゼキ』、『東急ストア』、『アキダイ』の「寿司」を食べ比べしましたが、各ブランドともに、味、鮮度、コスパなど、なんらかの優位性があり、「これはないわ!」という「寿司」は一つもありませんでした。
価格を気にしなければ『オオゼキ』の「寿司」のクオリティは専門店を凌駕するほどでした。また、クオリティ・コスパ双方を実現した『東急ストア』の「寿司」も素晴らしかったです。
さて、ここまで読んでくださったあなたは、どのスーパーマーケットの「寿司」が気になりましたでしょうか。ぜひあなた好みの「寿司」をお近くのお店でチェックしてみてくださいね。
(※ネタの構成などは季節、時期によって異なる場合があります)
(うまいめし/ 松田 義人(deco))