うっ、クサい…愛猫の「お尻が臭い」ときに考えるべき3つの理由と対処法

1.肛門腺の液体が漏れている

猫のお尻が臭いとき、最も可能性が高いのが『肛門腺』の液体分泌です。猫の肛門付近には『肛門嚢』と呼ばれる袋があり、強烈なニオイの液体が入っています。これが漏れ出して、お尻が臭くなるというわけです。

排便時だけ臭いのであれば、すぐに元に戻るので問題ありません。しかし数日続くようであれば、『肛門嚢(腺)炎』を起こしている可能性があります。これは、なんらかの理由で肛門腺液が溜まってしまい、炎症を起こすという疾患です。

炎症がひどくなると、肛門嚢そのものが破裂してしまうことも。こうなるとニオイだけでなく、膿や血が出てくることもあります。破裂した部分から漏れ出した液体のニオイは強烈ですが、ここまで悪化すると治療も非常にやっかいになります。

2.泌尿器系疾患や腸内環境の悪化

泌尿器系トラブルによって、お尻周りが臭くなることもあります。ニオイがきつくなる疾患として考えられるのが、『膀胱炎』です。人間でもよく聞く疾患ですが、猫が患うこともあります。

膀胱炎の原因は様々で、結石や細菌が原因で発症するものや、原因の特定が難しくストレスなどが発症要因と考えられる特発性と呼ばれる膀胱炎などがあります。細菌が侵入している場合はオシッコの臭いがひどくなりやすく、それがお尻周りに付着してニオイを発するというわけです。オシッコの中に膿が混じっている場合も独特のニオイがします。

ちなみに猫に多い泌尿器系疾患として『腎不全』もありますが、慢性の場合はむしろニオイが薄くなるケースが多いです。

また、腸内環境の悪化によってウンチのニオイが臭くなっていることも。膀胱炎と同じように、便がお尻周りに付着することで「猫のお尻が臭い」と感じます。

3.子宮蓄膿症

メス猫のお尻が臭い場合は、『子宮蓄膿症』になっている可能性があります。子宮蓄膿症とは、子宮が細菌感染を起こして膿が溜まる疾患です。お尻周りの悪臭の他、元気や食欲がなくなることもあります。

子宮蓄膿症には「開放性」と「閉鎖性」という2パターンがあり、お尻が臭いのは「開放性」であることが多いです。というのも開放性の子宮蓄膿症というのは、溜まった膿が外部に漏れてしまうため。対して閉鎖性は、外には漏れずに子宮内にどんどん溜まっていき、重症化するまで気付かれないことも多いです。

陰部から膿が垂れる開放性の子宮蓄膿症では、お尻周り~後ろ足におりものが付着することもあります。

また猫が子宮蓄膿症になると、同時に敗血症や急性腎不全、血液凝固異常など様々な併発疾患を発症し、治癒困難になることも多いです。

若いうちに避妊手術を受けることで、子宮蓄膿症は避けることが可能です。

猫のお尻が臭いときの対処法

肛門腺が原因で臭い場合は、肛門嚢を絞ることで解決できます。肛門嚢は肛門を中心として4時8時の方向にあり、触ってみると他の箇所と比べて少しだけポコっとしています。片手でしっぽを上げておき、もう片方の手の親指と人差し指を使って絞り出しましょう。

出てきた肛門腺はとても臭いので、汚れてもいい服を着て手袋をはめ、ティッシュなどで覆いながら行うのがおすすめです。また絞った後は、猫のお尻をガーゼで優しく拭いてあげましょう。

肛門腺が原因ではない場合、なんらかの疾患が隠れている可能性も否定できません。シャンプーしてもニオイが続く場合は、動物病院で診察を受けるといいでしょう。

まとめ

猫のお尻が臭いときは、肛門腺が溜まっていることをまず始めに疑いましょう。猫の肛門腺絞りは定期的に行う必要はありませんが、ニオイがひどいときは詰まっていることも考えられます。動物病院でも「肛門腺絞り」の処置をしてもらえるので、心配であれば診察を受けるのがベターでしょう。

処置が遅れると肛門嚢破裂を起こし、猫に更なる苦痛を与えてしまうことになります。破裂を繰り返す場合は肛門嚢を除去する手術が必要になるケースもあるので、注意が必要です。

また泌尿器疾患や子宮蓄膿症でお尻が臭くなることもあるので、ニオイが続く場合は早めに診察を受けるのがおすすめです。

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