寄付した食品 どこ行くの? 23日は「フードバンクの日」 一括して引き受け 求める団体へ

フードドライブ、フードバンクを通じた食品の流れ

 23日はフードバンクの日。家庭で余った食品の寄付を募る「フードドライブ」で集まった食料を一手に担うフードバンクも世に出て久しいが、市民が提供した食品はどこに行くのか。その行方を追った。
 フードドライブは余剰な食品を集め、福祉施設や子ども食堂に寄付する米国発祥の活動。食品ロス削減や貧困対策にもつながっている。長崎県内では損害保険ジャパン長崎支店などの保険会社や、コンビニ大手のファミリーマート、総合スーパーのイオン九州などの民間企業が継続的に実施する。
 フードバンクは、各地のフードドライブで集まった食品を一括して引き受け、食品を希望する団体に贈る。県内では、一般社団法人「ひとり親家庭福祉会ながさき」が運営する「つなぐBANK」などがある。五穀豊穣(ほうじょう)への感謝が由来の「勤労感謝の日」に合わせ、フードバンクの日が2016年、日本記念日協会(長野県佐久市)に登録された。
 食品ロス削減の日(10月30日)に合わせ、長崎市は市役所前広場や各地域センターでフードドライブを実施。メットライフ生命保険長崎本社(常盤町)も合同で取り組み、96人から計281.6キロが集まった。同市廃棄物対策課は「回収量を増やすのはもちろん、民間企業の自発的なフードドライブを促したい」と、官民一体での活動の意義をこう語る。
 11月10日、寄せられた食品を市職員が届けに向かったのは、一般社団法人フードバンク協和長崎支店(田中町)。食品卸の地場大手、協和商工(佐世保市)が2017年に設立。「6人に1人の子どもが満足に食事を取れない」といわれる社会に危機感を抱いたからだ。
 フードバンク協和は、協和商工が保管する食品をウェブページで紹介し、提供希望者が先着順で注文するシステムを構築。インターネット通販大手になぞらえ「アマゾン方式」と呼ぶ。賞味期限や量などをチェックした後、仕分けをして、契約者限定のウェブページに食品の情報をアップする手の込みようだ。
 フードバンク協和長崎支店の事務局、竹村芳治さん(66)は「常に注文があるという現状は、その陰で食品を求めている子どもや世帯が多く存在することを意味する」と指摘。フードバンク協和には昨年6月から今年5月まで、県内51団体から25トンの食品寄付があり、約100団体に提供した。
 2、3カ月に1度、フードバンク協和に冷凍食品やゼリーなどのデザートを受け取りに行く長崎市内の子ども食堂「森と海とこどもの家」。峰亜弓代表(45)は「食材の保管場所を自前で持つ子ども食堂は少ないので、フードバンクはありがたく、必要な存在」と話す。
 同市は常時、市役所13階の廃棄物対策課と市地球温暖化防止活動推進センター(通称サステナプラザながさき、万才町)で食品を受け付けている。未開封で賞味期限まで1カ月以上ある食品が対象。詳細は市廃棄物対策課(電095.829.1159)。

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