投資減税、賃上げ要件延長 消極的なら法人税優遇せず

首相官邸

 政府、与党が企業の研究開発や第5世代(5G)移動通信システム関連の投資を促すための法人税の減税措置について、賃上げや設備投資に消極的な大企業は対象外としている要件を延長する方向で調整に入ったことが22日、分かった。単純延長ではなく適用条件を厳しくする案も浮上している。賃上げ税制の拡充と合わせ、岸田政権が目指す「物価上昇を上回る賃上げ」の実現を後押しする。

 自民、公明両党の税制調査会が年末に向けた2024年度税制改正作業で詳細を詰める。ただ経団連などは投資促進の妨げとなる恐れがあるとして「さらなる厳格化は行うべきではなく、廃止を含めた見直しを行うべきだ」と要件の維持・厳格化に反対しており、調整が難航する可能性もある。

 要件は24年3月末が期限の予定だが、岸田政権が「最重要課題の一つ」と位置付ける賃上げ促進のため延長する方向だ。賃上げ要件の水準を引き上げて厳しくすることも検討。賃上げ税制などの拡充で法人税が減収となる分の財源を、研究開発税制などの要件厳格化による減税縮小で確保する狙いもある。

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