松山、岩田、宮里、大槻の意外な共通点は…? ヒントは「PW」

右がノーメッキのPW、左がメッキの9番アイアン(撮影/服部謙二郎)

◇国内男子◇カシオワールドオープン 事前(21日)◇Kochi黒潮CC(高知)◇7335yd(パー72)

いきなりですが、クイズです。松山英樹、岩田寛、宮里優作、大槻智春…、彼らの共通点は?東北福祉大出身…?違うか、大槻は鹿島学園出身だしな。では、干支が一緒?これまた違うぞ。松山と宮里は同じ申年だけど、岩田は酉年、大槻は午年で微妙にズレている…。その答えは、「ピッチングウェッジをノーメッキにしている」ということだ。「そんなの分かるかい!」という声が聞こえてきそうだが…。

さて、ここから本題。ノーメッキがどういうことか分からない方もいると思うので、まずは説明から。我々が購入する市販品のアイアンのほとんどにはメッキが施されており、各クラブメーカーはメッキ加工することで耐摩耗や錆への対応をしている。つまりメッキをしないと錆びやすくなりキズもつきやすいわけだが、それをあえてノーメッキにするのは、それがプロにとって得られるものが大きいからだ。

ピッチングウェッジをノーメッキに。鉛で重さ調整。メイン用に(撮影/服部謙二郎)

ノーメッキ歴13年の岩田寛に始めたきっかけを聞くと、「アイアンの溝規制が始まって、ピッチングウェッジがベント芝のときに“ポッコン”するようになったんです」と当時を振りかえる。「濡れているときなんか顕著で、スピンが入らない。当時契約していたホンマさんに頼んですぐに対応してもらいました」。ノーメッキにしたことで、濡れたベント芝の状態でもスピン量が一定になって距離感が安定したとか。今は契約がフリーになり、ヨネックスのアイアン(イーゾーン MB301)を使っているが、同社にも依頼してPWだけノーメッキにしてもらっている。ノーメッキモデルも多いウェッジのヘッドをPWのかわりに使う発想もあったが、「ウェッジ型のヘッドは好きじゃないんです」と岩田はそれも織り込み済みだ。

ピッチングウェッジは打痕が分かる(撮影/服部謙二郎)

もう一人のノーメッキ派である宮里は「(始めたのは)3年前ぐらいからですかね」と、意外と歴は浅い。てっきり仲のいい岩田からのススメかと思ったが、「平塚哲二さんがやっているのを見て、いいなぁって。すぐに(契約先の)ブリヂストンさんにお願いして作ってもらいました」(221CBアイアン)と、一度ノーメッキの味を覚えてからは病みつきになっているそうだ。「打感が柔らかくなるんですよ。トラックマンとかで測って数字上で明らかに差が出るほどじゃないですが、スピンも入る気がします」と宮里。ウェッジを選ぶ選択肢もあるが、「(ウェッジだと)スピンが入り過ぎて距離が出ないケースが多い」と、ほどよいスピンが入って距離の計算ができる「PWのノーメッキ」という選択がまさにベストなようだ。

ノーメッキのPW(左)とメッキの9Iを持つ(撮影/服部謙二郎)

他にも松山英樹や大槻智春といった、並みいるプロたちがこれだけハマるノーメッキ。一度やってみたいと思うが、素人がやって果たしてその感覚が分かるのだろうか。PWだけ加工してあったらちょっと“ツウ”な感じは出せどうだが…。アイアンのノーメッキ加工対応をやっているところもあり、気になった方は調べてほしい。錆びやすいのは間違いないので、加工後のケアはお忘れなく。(高知県芸西村/服部謙二郎)

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