【感染症ニュース】第45週インフルエンザ全国定点17.35で減少も気を緩められないワケ… コロナ2.01も今後増加に転じる可能性も

流行地域は注意

厚生労働省が、2023年11月17日に発表した「インフルエンザの発生状況について」第45週(11/6-11/12) によると、全国のインフルエンザ定点当たり報告数は17.35。前週の21.13から、3.78ポイント減少しました。また、同日に発表された第45週(11/6-11/12)の新型コロナウイルス感染症の定点報告数は、2.01と、先週の2.44から微減しています。インフルエンザが減少に転じていますが、現状について、感染症の専門医に伺いました。

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感染症の専門医は…

感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は「第45週(11/6-11/12)のインフルエンザの全国定点報告数が、減少に転じました。東京・神奈川などで、減少した一方で、増加・横ばいの地域もあります。しかし、『学校サーベイランス』の情報では、翌週も、流行がお子さんの間で継続していることが分かります。流行に、地域差はあるものの引き続き、注意が必要です。11月も末になり、寒さが増してきました。低気温・低湿度といった本来のウイルスの流行に適した環境に近づきつつあることから、今後の患者報告数の動向には注意してください」としています。また、新型コロナウイルス感染症について、安井医師は「新型コロナウイルス感染症の患者報告数は、全国的には下火になっています。しかし、大阪府のデータをみると、下げ止まり感が出てきており、これから、増加に転じる可能性も否定できません。これまで、1-2月に流行がみられることから、12月あたりから、患者報告数が増えてくる可能性もあります。今後、いつ増えてくるか予測がつきません。引き続き注意が必要です」としています。

インフルエンザ症状と対策

インフルエンザは、1~4日間の潜伏期間を経て、突然に発熱(38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが出現し、鼻水・咳などの呼吸器症状がこれに続きます。通常は1週間前後の経過で軽快するが、いわゆる「かぜ」と比べて全身症状が強いのが特徴です。くしゃみ、咳、会話等で口から発する飛沫による飛沫感染が主な感染経路です。他に接触感染もあるといわれています。飛沫感染対策として、咳エチケット。接触感染対策としての手洗いの徹底が重要であると考えられますが、たとえインフルエンザウイルスに感染しても、全く無症状の不顕性感染例や臨床的にはインフルエンザとは診断し難い軽症例が存在します。これらのことから、特にヒト-ヒト間の距離が短く、濃厚な接触機会の多い学校、幼稚園、保育園等の小児の集団生活施設では、インフルエンザの集団発生をコントロールすることは、困難であると思われます。

新型コロナウイルス感染症とは

新型コロナウイルス感染症は、発熱・鼻水・のどの痛み・咳などといった、風邪のような症状から始まります。また、頭痛や強い倦怠感などが良く見られる症状です。下痢や味覚・嗅覚障害を伴うことも少なくはありません。感染者の口や鼻から、咳、くしゃみ、会話等のときに排出される、ウイルスを含む飛沫又はエアロゾルと呼ばれる更に小さな水分を含んだ状態の粒子を吸入するか、感染者の目や鼻、口に直接的に接触することにより感染します。一般的には1メートル以内の近接した環境において感染しますが、エアロゾルは1メートルを超えて空気中にとどまりうることから、長時間滞在しがちな、換気が不じゅうぶんであったり、混雑した室内では、感染が拡大するリスクがあることが知られています。最も重要な対策は、咳エチケットと手洗い・アルコール消毒など手指衛生を徹底することです。手洗いが大切な理由は、ドアノブや電車のつり革など様々なものに触れることにより、自分の手にもウイルスが付着している可能性があるからです。外出先からの帰宅時や調理の前後、食事前などこまめに手を洗いましょう。また、感染拡大を防ぐため、人と人との距離を保つことが重要です。

引用
新型コロナウイルスに関するQ&A

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏

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