幼いころに実父から性的虐待 損害賠償請求にまたも “時間の壁” 原告の40代女性「どう伝えれば分かってもらえるのか」

幼いころに受けた性的虐待が原因で、大人になってからPTSDを発症したとして、広島県内の女性が実の父親に損害賠償を求めた裁判で、広島高裁は女性の訴えを棄却しました。

この裁判は、広島市の40代の女性が子どものころに実の父親から性的虐待を受け、20年以上が経った大人になってからフラッシュバックなどのPTSDを発症したとして、父親におよそ3700万円の損害賠償を求めたものです。

1審で広島地裁は、性的虐待があったことは認めたものの、「20年以上前に発生した被害のため、損害賠償を請求できる期間は過ぎている」として訴えを退けました。

これに対し、原告の女性は、損害賠償を請求できる20年間の期間の起算点は
「PTSDの症状が出た2018年か、診断を受けた2021年」であると主張し、控訴していました。

22日の判決で広島高裁の 脇由紀 裁判長は、「性的虐待に起因するとみられる症状の多くが10代の後半には現れており、損害賠償請求権は消滅している」として原告の訴えを棄却しました。

原告の女性
「被害者が苦しいという気持ちをどう伝えたら分かってもらえるんだろう。自分の父親を訴える。考えられることではないですよね」

原告の女性は上告する意向を示しました。

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