“最後の1年”を過ごす児童にテレビができること 2024年3月で閉校の小学校 地域の良さを伝える気持ち=静岡・島田市【シリーズ「16の瞳」】

静岡県内の小学校から番組に依頼がありました。

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「島田市立伊太小学校は、約150年の歴史のある学校ですが、2024年3月で閉校します。子どもたちは今、学校伝統の行事で、この学校や地域の良さを発表するべく準備をしていますが、まだ伝わるものになっていません。“伝える技術”を教えてくれませんか?」

“最後の1年”を過ごす子どもたちに何ができるのか。社会の授業で「情報やメディア」について学んでいる5年生の教室にお邪魔しました。

島田市立伊太小学校の5年生は8人。12月の保護者を招いての学校伝統の発表会「うめのみ表現集会」に向けて、伊太地区のことを一生懸命調べていました。閉校を控えた5年生の発表テーマは「伊太っていいね!を全ての人に伝えよう」です。

伊太小学校は、JR島田駅から車で10分ほどの場所にあり、市街地とそれほど離れていませんが、時代とともに児童の数は減り、現在は49人。伊太小を含む、島田市北部の4つの学校は、2023年度いっぱいで閉校し、2024年度から別の学校に通うことになります。

5年生の担任・畠山教諭です。子どもたちの発表を手伝ってほしいと依頼をくれました。

<伊太小学校5年生担任 畠山沙南教諭>
「写真を撮ったり、撮ったものを詳しく調べている。情報は集まっているけど、せっかく伊太について調べているのに、伊太の人が登場しなかったり、自分たちの思いがちょっと薄いかな。(こうすれば)より見ている人に伝わるものになるよ、ということを伝えていただけたら」

「うめのみ表現集会」まで1か月を切った11月7日、子どもたちが準備している発表内容を聞かせてもらいました。

<5年生 池田彪駕さん>
「伊太小の歴史を紹介します」

<5年生 佐野陽哉さん>
「1987年の全校児童数は198人です。毎年、全校生徒でマラソン大会をやっていたそうです。学校の畑でサツマイモを作り、芋粥パーティーをやっていたそうです」

子どもたちの発表を聞いて、分かったことがありました。「情報」は集まっています。ただ、全ての人に伝えるために「大切な要素」が足りません。

<滝澤悠希キャスター>
「感情のところだよね」

<児童>
「感情?」

<滝澤悠希キャスター>
「いま事実はいっぱい調べられてるから、当時の人がどんなことを感じたのかを入れていくと、より“いいね”と思ってもらえるかもね」

「情報」に「人の気持ち」を加えること。ニュースをより多くの人に深く伝えるため、テレビ局で働く私たちが心掛けていることです。

4日後の11月11日、卒業生や地元の人による学校最後のふれあいイベントが開かれました。

<5年生 水口和寿さん>
「いま、お時間いいですか。伊太でよく生き物を見かけますか?」

<伊太小OB 友安行雄さん(65)>
「イノシシは多いですね」

伊太の良さを全ての人に伝えるため「当事者の気持ち」を集めようと卒業生にインタビューしました。

<5年生 鷲塚璃子さん>
「シカやヘビやハクビシンがいることは『伊太っていいね!』になると思いますか?」

<伊太小OB 友安行雄さん(65)>
「いいと思います。なかなか(自然を)体験できたり見られるところは街中にはないので、この地域、伊太はいいところだと思います」

<5年生 池田彪駕さん>
「今の伊太小は人数が49人と少ないんですが、人数は多かったですか?」

<伊太小OB 鈴木俊久さん(68)>
「全校生徒が183人いました」

<5年生 池田彪駕さん>
「学校生活はどうでしたか?」

<伊太小OB 鈴木俊久さん(68)>
「楽しかったよ。みんな名前と顔が分かる。学校終わったあとも地域でみんなで遊びましたね」

先輩たちから貴重な「気持ち」を取材することができたようです。

<5年生 池田彪駕さん>
「伊太は少人数でも大人数でも楽しいことが分かりました」

<5年生 鷲塚璃子さん>
「(先輩に話を聞いて)伊太って いいね につながると思って、いま台本を作っているけど、もっとより良くできそうです」

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