南野陽子さん「ショックです」「夫は向き合って」“横領”使途不明7000万円か　夫らが社会福祉法人の金を私的な口座に移した疑い=静岡・清水区

静岡市清水区の社会福祉法人の口座から1500万円を私的な口座に移した疑いで、元警察官の男と団体職員が逮捕された事件で、使い道の分からない金は、約7000万円に及ぶことが分かりました。SBSは、この事件に関する情報を静岡市に提供したという男性から話を聞きました。

11月22日、送検された、社会福祉法人の前理事長で元警察官の男（43）と団体職員の男（52）は、2022年10月、共謀して元警察官の男が当時理事長を務めていた社会福祉法人の口座から現金1500万円を2人が関係する会社の口座に移した疑いが持たれています。

団体職員の男は、俳優・歌手の南野陽子さんの夫で、警察は21日、2人が住む都内のマンションに家宅捜索を行いました。

夫の逮捕を受け、南野陽子さんは22日、所属事務所を通じてコメントを出しました。

「ショックです。何故…悲しさ、怒り、情けなさ…いろんな感情が湧いています。（中略）どのような事が行われていたのか全く分かりませんが、夫にはきちんと向き合ってほしいと思います」

SBSの取材では、逮捕された2人は大学の先輩・後輩の関係で、警察は先輩にあたる団体職員の男が事件を主導し、理事長だった元警察官の男の法人内の立場を悪用して犯行に及んだとみて、捜査を進めていることが分かっています。

22日、その社会福祉法人が運営する特別養護老人ホームを訪ねると、使い道の分からない金がさらに7000万円以上あることが分かりました。

特別養護老人ホームの施設長によりますと、2022年10月、社会福祉法人の口座から約2000万円が引き出されていたほか、介護報酬を担保にして約5000万円を借り入れ、その後の使途が不明になっているというのです。

施設が保管する資料の中には、あわせて約7000万円の金について、元警察官の男が返却するといった契約書があったものの、社会福祉法人への返金は行われていないということです。

＜特別養護老人ホーム施設長＞
「介護保険というお金が当たり前に何することもなく入ってくることに目をつけたと思うのですが、（利用者が）今を生きていくために必要としているお金をなぜ？と怒りを感じる」

この7000万円が横領された可能性はあるのか。SBSは、この事件に関する情報を2023年3月、静岡市に提供したという男性に話を聞きました。

＜静岡市に情報提供をした男性＞
「団体職員の男と私は、東京の六本木にある病院を共同で経営していた」

男性は、団体職員の男とともに都内で病院を経営。団体職員の男との間で運営資金に関するトラブルが生じ、袂を分かちましたが、関係の良かった2022年12月、このような告白を受けたといいます。

＜静岡市に情報提供をした男性＞
「相談があると言われて、『静岡市から自分の経営している社会福祉法人に監査が入る。実は社会福祉法人のお金を抜いている』と、私的に流用していると相談を受けた」

団体職員の男からは、社会福祉法人の銀行口座の通帳も見せられたといいます。男性は、団体職員の男らが社会福祉法人の資金を私的に流用している恐れがあるとみて、静岡市への情報提供を決めたと話しました。

関係者によりますと、警察も2人に余罪があるとみて調べを進めています。