工事で発生 泥から基準超の重金属 岡山・砂川、県「水質影響なし」

砂川で進む芳野橋の架け替え工事現場。手前の構造物が新たに設置した橋脚=21日、岡山市東区浅越

 西日本豪雨で被災した砂川(岡山市東区)で岡山県が進める改良復旧工事を巡り、工事で発生した泥から国の基準値の5.8~1.1倍に相当する鉛とヒ素、フッ素が検出されていたことが分かった。いずれも自然由来と考えられ、県は水質への影響はないとしているが、土壌汚染対策法に基づき泥を埋め立て処分する必要性が生じ、30日開会予定の11月定例県議会に工事費を1億6600万円増額する関連議案を提出する。

 泥は、川の拡幅に伴い芳野橋(全長64.5メートル、同浅越)を架け替える工事で、橋脚を設置する地盤を強化するため川底から約8メートル下の土壌に硬化剤を注入した際に発生した。泥に含有する重金属類の成分を調査した結果、鉛は基準値の5.8倍、ヒ素は2.8倍、フッ素は1.1倍の濃度が検出された。

 県はこれらの物質が自然由来とみられることに加え、土壌から川底までは一定の距離があることから水質に問題はないと判断。一方で、泥の搬入先として想定していた再資源化施設への持ち込みが困難となり、周辺土壌への漏えい防止措置が施された処分場に埋め立てる必要が生じたという。

 関連議案では物価高騰に伴う資材費や人件費の増加も加味し、芳野橋の橋脚や橋台を設ける工事について請負業者との契約内容を変更。工事費を7億6600万円から9億3300万円に増額する。

 県河川課は「西日本豪雨と同程度の流量に耐えられる想定で改良を進めている。引き続き環境面に配慮しながら適切に工事を実施していきたい」としている。

 砂川の改良復旧は集中的に工事を行う国の河川激甚災害対策特別緊急事業(激特事業)に採択され、約7.2キロ区間で護岸整備などを行っており、10月末時点の進捗(しんちょく)率は46%。総事業費は185億円で、2024年度末の完了を見込む。

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