【ラグビー】<見どころ>ついに「黒黄」が歴史変えるか、またもや「赤黒」が北風吹かすか。意地とプライド、100回目の激突。/関東大学対抗戦 第5節 対 早稲田大学

2023年11月23日(木・祝)関東大学対抗戦Aグループ 対 早稲田大学 @国立競技場

関東大学対抗戦Aグループ 第6節
慶應義塾大学	2023/11/23(木・祝)	早稲田大学
前半	後半	ロスタイム:	前半	後半
トライ(T)
コンバージョン(G)
ペナルティゴール(PG)
ドロップゴール(DG)
計
合計
得点者

ついにこの日がやってきた。両校の意地とプライド、全てをかけた戦いなのは至極当然なのだが、今回は「100回目の早慶戦、それも国立」という、この一戦からしか生まれないエネルギーや独特の雰囲気も、この試合の行方を左右しそうだ。アタックの早稲田に対し慶應がディフェンスで食い下がり、ロースコアの接戦に持ち込み、最終的に競り勝つゲームプランに注目だ。25点をどちらのチームが取るかもポイントになりそうだ。

慶大は試合に臨むにあたり、課題を設定して挑戦し達成する、試合ごとに成長する戦いぶりを見せてきた。ディフェンス力はもちろんのこと、モールやスクラムなどセットプレーの強化、BK陣のアタックも調子が上がってきた。明大戦では立ち上がりの失点と連続失点が響き敗れたものの、後半は近場でのFWのぶつかり合いを制したり、モールでトライを取り切ったりと、後半はスコアで上回った。早大攻略のカギは、FW陣の踏ん張りとBK陣のここぞでの一走だ。早大の変幻自在のアタックを、「魂のタックル」でディフェンスできるかに勝負がかかる。青貫監督は明大戦後、早慶戦までに「タックルを鍛える」と述べたが、この1年間鍛えたタックルを存分に発揮してもらいたい。攻撃面では、早大は例年中央に人を多く配置するディフェンスをするが、そこで「外に外に」と回すのではなく、FW陣が少しずつ前進することが大事だ。そこで、終盤FW陣が疲れてきた時に、BK陣がランで駆け抜けるというような展開に期待だ。慶大の注目選手を挙げるならば、PRの岡とSOの山田だ。岡は主将としてチームを束ねてきた。「早慶戦に勝つ」という目標に1年間チームは取り組んできたが、岡がチームの先頭に立って率いてきた。岡のタックルを見て闘志を燃やす選手や、心を打たれる観客がたくさんいるはずだ。早慶戦でも、言葉と背中でチームを鼓舞してほしいところだ。山田はキックはもちろんのこと、自身で切り拓いていく能力が高い。成蹊大戦や明大戦でも自分のランで突破するトライを決めた。宿敵相手にも果敢に仕掛け、相手ディフェンスを崩してほしい。そして、リザーブには吉村が入ったが、対抗戦、そして今季初の試合となる。早慶戦でどのようなプレーを見せてくれるのか、どのタイミングでどういう意図で出場するのか、青貫監督の手腕にも注目だ。

チームを引っ張る岡

早大は帝京大戦で初黒星を喫し4勝1敗。昨年度大学選手権決勝で敗れた帝京大相手に、それまで3戦とは布陣を大きく変えて臨んだ。特にBK陣に大幅なポジションチェンジがあり、SOに久富が入り、矢崎が左WTB、野中が左CTB、岡崎が右CTB、そして攻撃の核である伊藤がFBで出場した。久富、野中、伊藤の三人がSOをできるので、SHの供給先が多くなっており、一人のSOが倒れていようと速攻することに成功している。実際に伊藤がSOの位置に入り、バックドアへのパスを使い前進を図ることも多く、エッジのWTBの位置にはLOやFLがいるということもあった。伊藤が最後尾からゲームメイクをし、キックでエリア取りを図ったり、自らランで仕掛けるシーンも目立った。スコアでは21−36で、早大が攻める時間も長かった。しかし、特に前半はスクラムやラインアウトなど、セットプレーでのミスが終始多く、攻撃に転ぜられず流れに乗れなかった印象だ。ラインアウトでは佐藤のスローが真っ直ぐ入らなかったり、ボールがこぼれて相手に渡る痛い場面があった。スクラムでは相手の圧力に押され続け、組めばペナルティを取られる始末であった。

フィールドを駆け抜ける山田に期待だ

慶大が特に注意したい選手はLOの栗田、FBの伊藤だろう。栗田は終盤から出場したが走り込んでくる角度が上手く、タックルを跳ね返すなど大きく前進する場面が2つあった。ケガ明けで今季初出場だったこともあり、早大の中で一番乗りに乗っている選手であろう。そんな栗田が今回は先発出場。栗田のキャリーを防げるが、慶大は一つポイントだ。FBの伊藤は経験も豊富だが、伊藤に自由な動きをさせると慶大としては守りにくくなる。中心位置でボールを受けてからステップで間を置き、適材適所にパスを繰り出してくることにも警戒だ。ところが、対抗戦5試合で早大の開始10分の得点は0。早大は過去の早慶戦でも、試合開始序盤の動きはあまり良くない試合が多い。その開始10分でPGなどで先制し、流れを掴みたい。

岡組の挑戦は、この「早慶戦勝利」のためにある。この1年間、培ってきたもの、積み上げてきたものを「魂」に込め、赤黒撃破のために尽くしてほしい。勝利の女神は微笑むのは、果たしてどちらのチームか。100回目のホイッスルが鳴った瞬間から、目が離せない。

(記事:野上 賢太郎)

慶應義塾大学
#	氏名	身長(cm)/体重(kg)	学部学年	出身校
1	木村 亮介	173/103	環4	慶應
2	中山 大暉	176/102	環3	桐蔭学園
3	岡 広将	173/107	総4	桐蔭学園
4	シュモック オライオン	181/100	環4	Mount Albert Grammar School
5	中矢 健太	184/104	総3	大阪桐蔭
6	樋口 豪	174/98	文4	桐蔭学園
7	富田 颯樹	173/93	経4	慶應志木
8	冨永 万作	187/102	商3	仙台第三
9	橋本 弾介	169/77	法2	慶應
10	山田 響	174/82	総4	報徳学園
11	佐々 仁悟	173/80	総4	國學院久我山
12	三木 海芽	167/83	総4	徳島県立城東
13	永山 淳	188/94	総4	國學院久我山
14	大野 嵩明	177/80	法4	慶應
15	今野 椋平	183/86	環2	桐蔭学園
16	酒井 貴弘	169/98	商4	慶應
17	井上 皓介	176/106	経4	慶應
18	吉村 隆志	177/108	環3	本郷
19	浅井 勇暉	188/107	総3	仙台
20	田沼 英哲	176/94	総3	國學院久我山
21	小城 大和	168/73	商3	北嶺
22	山本 大悟	174/87	環2	常翔学園
23	伊吹 央	176/81	経2	慶應
早稲田大学
#	氏名	身長(cm)/体重(kg)	学部学年	出身校
1	山口 湧太郎	176/111	スポ2	桐蔭学園
2	佐藤 健次	177/107	スポ3	桐蔭学園
3	川﨑 太雅	171/109	スポ4	東福岡
4	栗田 文介	184/104	スポ2	千種
5	池本 大喜	186/105	文構4	早稲田実
6	安恒 直人	172/99	スポ3	福岡
7	永嶋 仁	178/96	社4	東福岡
8	松沼 寛治	177/93	スポ1	東海大大阪仰星
9	島本 陽太	167/72	スポ4	桐蔭学園
10	久富 連太郎	173/84	政経4	石見智翠館
11	矢崎 由高	180/86	スポ1	桐蔭学園
12	野中 健吾	180/96	スポ2	東海大大阪仰星
13	岡﨑 颯馬	177/90	スポ4	長崎北陽台
14	守屋 大誠	175/84	政経3	早稲田実
15	伊藤 大祐	179/89	スポ4	桐蔭学園
16	清水 健伸	178/102	スポ1	國學院久我山
17	杉本 安伊朗	176/99	スポ1	國學院久我山
18	亀山 昇太郎	176/119	スポ3	茗溪学園
19	細川 大斗	182/102	社4	早稲田実
20	中島 潤一郎	171/89	教2	桐蔭学園
21	細谷 聖樹	162/63	スポ3	國學院栃木
22	吉岡 麟太朗	170/81	スポ3	本郷
23	福島 秀法	183/92	スポ2	修猷館
慶應義塾大学	早稲田大学
101.1kg	FW平均体重	103kg
809kg	FW合計体重	824kg
177.6cm	FW平均身長	177.6cm
帝京大	明大	早大	慶大	筑波大	立大	青学大	成蹊大	勝	敗	分	勝点
帝京大	———	○	○	12/2	○	○	○	○	6	0	0	29
明大	●	———	12/3	○	○	○	○	○	5	1	0	25
早大	●	12/3	———	11/23	○	○	○	○	4	1	0	19
慶大	12/2	●	11/23	———	●	○	○	○	3	2	0	14
筑波大	●	●	●	○	———	12/2	○	○	3	3	0	15
立大	●	●	●	●	12/2	———	○	○	2	4	0	10
青学大	●	●	●	●	●	●	———	12/2	0	6	0	0
成蹊大	●	●	●	●	●	●	12/2	———	0	6	0	1
◎勝ち点の多い順に順位決定を行う。(並んだ場合は勝利数で決定)

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