トヨタ、2024年WRC開幕戦にGRヤリス・ラリー2を最大5台投入へ。年40台以上の製作を計画

 WRC世界ラリー選手権に参戦しているTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)のチーム代表であるヤリ-マティ・ラトバラは、2024年の『ラリー・モンテカルロ』に最大5台のトヨタGRヤリス・ラリー2がWRC2クラスに参戦する見込みであることをWRC.comに明かした。

 TGRにとって初のカスタマー・ラリーカーとなるGRヤリス・ラリー2は現在、FIAのホモロゲーション取得を進めている段階にある。同車は1年前のラリージャパン2022の会期中に初公開され、JRC全日本ラリー選手権に参戦しながら実戦データを積み上げるなど、本格的な競技デビューに向けて大規模な開発プログラムが実施されてきた。

 自身もラリー北海道でステアリング握ってJN1クラスで優勝するなど、GRヤリス・ラリー2のテストに積極的に関与してきたラトバラは、フィンランドに拠点を置くチームが2024年にユバスキュラのファクトリーで40台から50台のラリー2カーを生産することを目指していると明かした。

 そのうちの最大5台は、2024年シーズン開幕戦として来年1月25~28日に開催予定のラリー・モンテカルロに投入される予定だという。

「来年は40台から50台のマシンをフィンランドで製作する計画で、それが実現することを望んでいる」とWRC.comに語ったラトバラ。

「我々の目標はモンテカルロに5台のマシンを供給することであり、さらに月に4台ずつ供給していく計画だ」

「マシンの購入に興味を持っている人たちのリストは膨大だが、それらの注文にすべて応えることができるかどうかは、わからない。まずは最初のふたつのイベント、モンテカルロとスウェーデンでトップレベルのドライバーたちにマシンを供給できることが、我々にとってもっとも重要になる」

 ラトバラは、WRC2に参戦するカスタマーが最優先され、その後にERCヨーロッパ・ラリー選手権の有望選手や国内選手権が続くと説明する。

「WRCに続くプライオリティとしては、次はERCだ。我々はその選手権で走ることを熱望しているドライバーに焦点を当てている。我々はそこにマシンを供給し、そのあとで国内選手権にも協力していきたい」

 TGRのWRCチャレンジプログラムに、2期生として参加している若手日本人ドライバーの小暮ひかると山本雄紀は、2024年シーズンからラリー2にステップアップすることが発表されているが、トヨタにはWRC2にファクトリーチームを送り込む予定はない。

 このことについてラトバラは、「(WRC2への関与では)TGR WRCチャレンジプログラムやその他のカスタマープログラムがあるが、(GRヤリス・ラリー2を受け取る)すべてのドライバーはプライベーターとして参戦することになるだろう」と述べている。

2024年WRC体制発表でヤリ-マティ・ラトバラで(右)とともにい登壇した山本雄紀(左)と小暮ひかる(中央)。ふたりはヨーロッパで行われる育成プログラムのなかでこれまでのラリー4からラリー2にステップアップする
ヤリ-マティ・ラトバラTGR-WRT代表と『トヨタGRヤリス・ラリー2』 2023年WRC第1戦モンテカルロ

© 株式会社三栄