兵庫県西脇市黒田庄町の県道で車を運転中、視界の片隅にふと生き物の気配を感じた。
「ハト」。黄色い正方形の標識に、黒々とした線で書かれている。少し下の「走行注意」が目に入らないくらい、立派なハトだった。
もちろん標識には意味がある。「ハ」は道路の道幅が狭まることを示す「幅員減少」。「ト」は交差点があることを示す「ト型道路交差点あり」…。だが悲しいかな。二つの標識を組み合わせられると、「クルックー」と間の抜けた鳴き声しか聞こえてこない。
調べるとハト標識は全国にファンがいた。日本全国の観測記録を地図にまとめた猛者もいるとか。
標識にレンズを向けた。どうせなら本物のハトも一緒に-。しかし待てど暮らせど、来たのはスズメばかりだった。(伊田雄馬)