青森県内の大麻摘発、若者急増 23年は20代以下が6割超 「興味本位で手出さないで」県警が警鐘

県警が押収した大麻と吸引器具(県警提供)

 全国的に大麻の若年層へのまん延が深刻化する中、青森県内でも20代以下の大麻取締法違反での摘発が増加している。今年は10月末時点で過去10年で最多となる38人が県内全体で摘発され、このうち20代以下の若者は6割超を占めた。県警は交流サイト(SNS)で売買できる手軽さや、友人に誘われるなどして安易に手を出していることが増加の背景にあるとみる。大麻は薬物乱用の入り口となる「ゲートウエードラッグ」とされ、県警は「大麻は薬物で中毒性がある。興味本位で手を出さないでほしい」と警鐘を鳴らす。

 「体に良いというネットの情報をうのみにし、人生を棒に振ってしまった」。大麻取締法違反の罪で起訴された弘前市の男(25)は裁判で使用のきっかけを供述した。

 被告ら津軽地方に住む20代の9人は今年7~9月、大麻を所持、譲渡したなどとして逮捕された。捜査関係者によると、いずれも友人関係で「芋づる式」に摘発されたという。過去10年間の同法違反の摘発人数をみると、2014~19年までは10人台だったが、20年以降は30人前後に急増。中でも若者の摘発が目立ち、22年は28人中14人、今年(10月末現在)は摘発された38人中25人が20代以下で高校生の摘発もあった。

 乾燥大麻の末端価格は1グラム約5千円と、覚醒剤の同量の10分の1以下。ネット上では「海外で合法」「他の薬物より安全」「害がない」などの書き込みが散見され、捜査関係者によると、容疑者からは違法性の認識の薄さが垣間見えるという。こうしたSNSでの書き込みに対し、警察側はSNSの運営事業者に削除要請をしているが、追いつかない状態が続いている。

 また、近年は俳優や歌手ら芸能界で薬物関連による逮捕者が相次ぎ、ある捜査関係者は「若者の間で、たばこより大麻がかっこいいという憧れから手を出すケースがみられる」と話す。

 使用方法は乾燥大麻を葉巻状などにして火であぶって吸うほか、近年は、クッキーやグミに大麻を混ぜた食品、電子たばこ用に大麻成分を濃縮した「液体大麻(大麻リキッド)」などが流通。県内でも今年3月、大麻を液体状にしたものを電子たばこで吸引するために所持していたとして、五所川原市の21歳男が逮捕された。液体大麻の摘発は県内初だった。

 国は若者らの乱用を防ごうと、75年ぶりとなる大麻取締法の改正を今国会で進めている。大麻を麻薬取締法の対象にして他の規制薬物と同様に「使用罪」が適用できるようにする。現行法では「所持」「譲渡」などを禁じている。

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