青森県西北地域で初のイノシシ捕獲 深浦町で10月下旬、親子が箱わなに 生息域拡大に危機感

箱わなにかかったイノシシの成獣(右)と幼獣=10月27日(深浦町提供)

 青森県深浦町中心部で10月下旬、親子とみられるイノシシ2頭が箱わなで捕獲されていたことが22日、町への取材で分かった。県によると、2022年度まで西北地域でのイノシシ捕獲例はない。町は箱わなの設置数を増やすなどして、捕獲対策を強化する考えだ。

 町農林水産課によると、10月26日午後、JR深浦駅東側の高台にある岡町地区の住民から、近くの畑で「親子のイノシシを見た」と連絡があり、付近に箱わなを設置。27日朝、成獣のメス(体長132センチ、推定体重80キロ)と、幼獣のオス(同92センチ、同30キロ)がわなにかかっているのが確認された。畑にはネギやダイコンなどが栽培されていたが、食害は確認されていない。肥料としてまいた米ぬかを食べに来たとみられる。

 町内では、17年8月にイノシシによる水稲の食害を初確認。その後も町内でイノシシの目撃が続き、21年度には舮作(へなし)地区で生産されるブランド野菜「ふかうら雪人参(にんじん)」や水稲で約4万7千円、22年度は水稲約2万9千円の被害があった。

 21年度に町内で約152万9千円の被害があったニホンザルに比べると、まだイノシシによる被害額は少ないが、同課の笹森公人主幹は「子どもがいるということは繁殖しているということ。イノシシは1年で4頭産むと言われており、1頭による被害額も大きい」と危機感を強めている。

 県自然保護課によると、22年度、県内のイノシシは中南の平川市で1頭が狩猟で捕獲されたが、東青ではゼロ。一方、県南の三八では26頭、上北では11頭が狩猟や有害駆除で捕獲されている。下北はゼロ。

 現時点では三八の捕獲数が突出しているが、県食の安全・安心推進課の中村義人課長は「生息域拡大に危機感を持っている。生息密度が低いうちに広域的対策を取りたい」と話した。

© 株式会社東奥日報社