小4死亡、去った運転手どこへ…時効成立すれば「逃げ得」 母が“時効撤廃”求め、法務省の政務官に嘆願書 初めて直接手渡す「犯人を許すことに」 政務官「思いを受け止める。他の犯罪との均衡など慎重に検討」

中野英幸法務政務官(左)に嘆願書や署名を手渡す孝徳君の母親(右)=22日午後、東京都千代田区の衆議院第二議員会館

 埼玉県熊谷市で2009年9月、小学4年の小関孝徳君=当時(10)=が死亡した未解決のひき逃げ事件で、孝徳君の母親が22日、死亡ひき逃げ事故の時効撤廃などを求めて法務省の中野英幸政務官などに嘆願書を提出した。これまでにも同様の嘆願書を法務省に提出してきたが、政務官へ直接手渡すのは初めて。

 嘆願書で母親は「2029年に時効が成立してしまえば息子をひき殺した犯人は罪に問われなくなってしまい、いわば『逃げ得』を許すことになりかねない」と指摘した。受け取った中野政務官は時効撤廃について「他の犯罪との均衡などの関係から慎重な検討が必要」としつつ、「事故に対する思いを重く受け止めたい」と述べた。

 母親は警察庁などにも同様の嘆願書などを手渡し、「時効が撤廃されることで、事故を起こして逃げることへの抑止力になる。今後も活動を続けたい」と話した。

 事故を巡っては16年に道交法違反(ひき逃げ)罪の時効が成立。県警は自動車運転過失致死罪の時効が迫った19年9月、罪名を危険運転致死罪(いずれも事故当時)に変更して捜査を継続することになり、時効は10年延長された。

 母親のブログは「《未解決》熊谷市小4男児死亡ひき逃げ事故!」(https://ameblo.jp/kosekitakanori/)。情報提供や署名を呼びかけている。

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