市立病院、移転建て替えへ 2次救急医療を担い、病床数が130床の中核病院 24年度に計画策定、25年度から設計、27年度に工事開始を想定 移転先にある各施設、さらに移転させ複合施設として整備予定

移転建て替えの方針が示された現在の蕨市立病院=21日午前、蕨市北町2丁目

 埼玉県蕨市の頼高英雄市長は21日の定例会見で、同市北町2丁目にある現在の市立病院を2028年度内を目標に、約500メートル離れた同市錦町3丁目地内に移転建て替えする方針を発表した。

 蕨市立病院は1952年8月に当時の町立病院として開設され、現在の施設は70年11月に完成。病床数は130床、内科、外科、整形外科、小児科、産婦人科、耳鼻咽喉科などの外来があり、2次救急医療を担う地域の中核病院となっている。

 一方で建設から50年以上が経過しており、耐震化、老朽化対策について市の施設整備検討委員会が今年1月、「既存施設の改修・長寿命化は困難」と報告したことから市は建て替えの方針を決定。同委員会により現在地での建て替えと移転建て替えが検討され、地域医療への影響、病院経営の観点などから、移転建て替えによる整備を判断した。

 移転候補地は西公民館、松原会館などがある敷地で面積は約4540平方メートル。2024年度にかけて基本構想・基本計画を策定し、25年度中に基本設計、26年度中に実施設計を行い、27年度の工事開始を想定する。現在の西公民館、松原会館は、市民から寄付のあった錦町内の別の土地に移転し、複合施設として整備する。

 今月末開会予定の市議会12月定例会に、市立病院整備基本構想および基本計画策定支援業務委託費について、24年度にかけての債務負担行為を設定する補正予算案が提案される。会見で頼高市長は「人口減少、少子高齢化が進む中、選ばれる、安心して住み続けられるまちづくりを進める上で市立病院建て替えは非常に重要な事業になる」と述べた。

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