「正当防衛の程度を大幅に超える」…無罪主張の被告に懲役9年 騒音トラブル殺人事件 静岡地裁沼津支部

去年、静岡県熱海市のアパートで、騒音トラブルから30代の男性を殺害した罪に問われている男に対し、地裁沼津支部は懲役9年の実刑判決を言い渡しました。

起訴状などによりますと、熱海市の無職の被告(25)は去年9月、アパートの上の階の部屋を訪ねていた三島市青木の男性(当時36)と、騒音を巡ってトラブルになり、男性の胸や肩など4カ所を果物ナイフで刺し、殺害した罪に問われています。

検察側は論告で「体の様々な部位を違う方向から刺していて、もみ合いの中で刺さってしまったと考えるのは難しい」「犯行態様は強い殺意に基づく残忍なもので、厳しい非難に値する」として懲役15年を求刑。

一方、弁護側は「当時は男性が被告の自宅に侵入して、身の危険を感じたためナイフを持った。もみ合った際にバランスを崩して、意図せずナイフが刺さってしまった。殺意は無かった」と無罪を主張していました。

21日の判決で、地裁沼津支部の野沢晃一裁判長は「被告のとった行動は、正当防衛の程度を大幅に超え、過剰防衛だったと言える。被害者から被告に対して暴行が認められるものの、意図的に被害者を刺したとみられる傷があり、未必の殺意が認められる」として懲役9年の実刑判決を言い渡しました。

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