世界遺産登録2周年を迎えた「北海道・北東北の縄文遺跡群」を関西圏にPRしようと、縄文遺跡群世界遺産本部(本部長・宮下宗一郎知事)は23日、堺市の市産業振興センターで大阪フォーラムを開いた。今回は世界遺産登録4周年を迎えた「百舌鳥(もず)・古市(ふるいち)古墳群」(百舌鳥・古市古墳群世界遺産保存活用会議=会長・吉村洋文大阪府知事)が共催。互いに世界遺産としての価値や魅力の浸透を図った。
縄文と古墳の各時代には年代や地域的な隔たりがある一方、地中にある遺跡であること、考古学の手法を用いて価値を証明したことなどの共通点もある。
この日は関西圏を中心に約500人が来場。縄文遺跡群世界遺産協議会の岡田康博会長が「北海道・北東北の縄文遺跡群の価値とその魅力」と題して講演した。
岡田氏は「世界遺産登録後、遺跡の見学者が増え、縄文を真面目に学びたいという人が多いことが分かり驚いた。地域の宝が認められ、地域が元気になった」などと世界遺産効果を説明。「実際に現地を訪れ、魅力に触れてほしい」と聴衆に呼びかけた。
また、兵庫県立考古博物館の和田晴吾館長が「百舌鳥・古市古墳群の価値とその魅力」、同志社大学の水ノ江和同教授が「世界文化遺産と国指定史跡-相違点と展開の可能性」をテーマに講演した。
このほか岡田氏、水ノ江氏、藤井寺市教育委員会(大阪府)の福田英人文化財専門員が「世界遺産を未来へ伝えるために」をテーマに意見交換を行った。
「古墳を整備して本来の形にしたり、ガイダンス施設を造ったりして価値を伝える取り組みを地道にしていく」(福田氏)、「われわれが世代交代する中で、何のために世界遺産を保護しているのか-と風化しないかが心配。(思いをつなぐ)人を育てないといけない」(水ノ江氏)、「われわれが語ることをやめてはいけない」(岡田氏)とそれぞれ思いを語った。
会場では両世界遺産を紹介するブースも開設。青森県からは十腰内(2)遺跡(弘前市)、是川石器時代遺跡(八戸市)、大平山元遺跡(外ケ浜町)の出土品などが展示され、来場者が興味深そうに見入っていた。
講演を聞いた大阪市の公務員米田令さん(52)は「二つの世界遺産の話を聞けるのが魅力で参加した。土器など出土品から縄文人の生活習慣が想像できた。実際に三内丸山遺跡や亀ケ岡石器時代遺跡に行ってみたい」と話した。