検査場所で初運用、順調 県原子力防災訓練で氷見市SC

避難した車両の検査訓練を行う参加者=氷見市ふれあいスポーツセンター

  ●61機関600人

 北陸電力志賀原発の重大事故を想定した富山県の原子力防災訓練は23日、氷見市を中心に行われ、国、県、氷見市、砺波市、関係機関など61機関約600人が住民の円滑な避難手順を確認した。氷見市ふれあいスポーツセンター(SC)を避難退域時検査場所として初めて運用し、放射線量検査や除染の動線を検証した。好天に恵まれ、車の大きな渋滞は発生せず、おおむね順調に行われた。

 志賀原発から半径30キロの緊急防護措置区域(UPZ)に富山県内で唯一入る氷見市はUPZ内の1万2600人を対象に屋内退避を呼び掛けた。薮田、宇波、女良の3地区の住民約200人が自家用車やバスで一時移転を行った。

 避難退域時検査場所の候補地は氷見市内に5カ所あるが、ふれあいスポーツセンターは唯一実施したことがなかった。今回の訓練により全てで完了した。

 デジタル技術を活用し、QRコードによる登録で避難住民の移動状況を把握するプログラムを試行した。災害時応援協定に基づき、県バス協会と県タクシー協会が一時集合場所や福祉施設に配車した。

 氷見市ふれあいスポーツセンターでは午前9時17分ごろから乗用車とバスが到着し、検査会場のゲート型モニターを通り、放射線量の測定を受けた。タイヤやワイパーをふく簡易除染も行われた。住民はセンターのサブアリーナで放射線量の検査を受けた。広域避難では約50人が砺波市柳瀬体育館にバスで移動した。

 新田八朗知事は県防災危機管理センターの本部員会議に出席し、氷見市内の訓練を林正之市長らと視察した。

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